落語絵本シリーズ『おにのめん』は、親元を離れてあらもの屋へ奉公にいく娘の話。
奉公先にあるお面が、実家の母の顔に似ていて、旦那さんにお面をいただき、
そのお面を大事にたんすにしまい、
時々覗き見ては、遠くにいる母を想い、日々仕事を頑張っていました。
ところがある日、いたずらをされてしまい、おかあさんそっくりのお面が、
おにのお面にすり替えられてしまいました。
娘はお母さんに何か、大変なことが起きたのではと心配になり、
仕事先から飛び出し、実家へ帰ってしまいました。
道筋の山の中で、3人の男たちに出会い、鬼の面をかぶった娘を見て、
男たちは驚き逃げてその場からいなくなってしまいました。
そこには大きな風呂敷に包まれた荷物がいくつかあり・・・
その後実家に到着すると、娘は実家の母が無事とわかり安堵します。
そして奉公先に次の日戻ってみると、母に似たお面が手元に戻り、
娘に良い出来事が起こります。
あらもの屋とは、生活雑貨のお店のことで、子どもは、子どもなのに
働いているのが不思議だったようです。
おにのお面の顔が最後変化するのに、とても驚いていました。
鬼も笑えば、かわいいし、怖くない。子どもにとって怖い存在の鬼が、
ちょっとかわいい存在になったようです。
来年のことをいうと、鬼が笑うということわざを、この落語絵本を通して
始めて知りました。
《著者紹介》
作:川端誠(かわばたまこと)
1952年生まれ。シリーズごとにテーマや表現技法をかえて、多様な世界を展開している。『鳥の島』『森の木』『ぴかぴかぷつん』『お化けシリーズ』(BL出版)など著作多数。絵本作家ならではの的をえた絵本解説も好評。落語絵本は『ばけものつかい』『まんじゅうこわい』『はつてんじん』『じゅげむ』『めぐろのさんま』『たのきゅう』『いちがんこく』『そばせい』『たかや』『おおおかさばき』『ときそば』『ひとめあがり』『かえんだいこ』『みょうがやど』(いずれもクレヨンハウス)。
※絵本より引用
【作:川端誠 出版社:クレヨンハウス】