最近建てられたばかりの新しくピカピカの建物は、
自分ががっこうという建物だということを知った。
でも、まだ生まれたばかりだから、がっこうがどんなところか知りません。
教室の中をそうじしている用務員さん。
がっこうは用務員さんが住む場所なんだと思っていました。
用務員さんは、もうすぐたくさんの子どもたちがやってくるよと話しました。
がっこうはどんなお友達が来るんだろう?
何人くるのかな?と少し不安になりました。
新学期が始まって、用務員さんの言ったとおり、たくさんの子どもたちがやってきました。
とてもにぎやかで、がっこうはドキドキしながら子どもたちを見ています。
楽しそうに校庭で遊んでいる子や、ふくれっつらの子どもも二人。
『つまんないなぁー。がっこう好き?』
『きまってるじゃん。だいっきらいだよ。』
がっこうは子どもたちの言葉を聞いて胸が痛みました。
教室では学校が嫌で泣いている子どもまで。
ますますがっこうは落ち込みました。みんなぼくのことが嫌いなんだ。
むしゃくしゃしたがっこうは、おとのこに水をかけたり、
きもちがトゲトゲしてきて、うっかり非常ベルを鳴らして、
こどもたちはみんな外に逃げ出してしまいました。
がっこうは反省しました。みんなお願い戻って来て、ごめんねと
ひとりひとりに謝りました。
お昼には給食になり、とってもいい匂い。
午後からの図工の時間に女の子が、学校の絵を描いてくれました。
がっこうはとてもうれしい気持ちになりました。
ぼくのことをよく見てくれていると思いました。
まいにち、こどもたちはべんきょうして、あそんで、わらって、泣いて、
時には喧嘩して、おこって、仲直りをする。
こんな素敵な建物ってめったにないとがっこうは思いましたというお話。
がっこうもこどもたちと同じ気持ちなんだと知った子どもは、
がっこうに親近感を覚えたようです。
がっこうも好きになってくれるとうれしい気持ちになるんだな。
綺麗に使ってくれると、うれしいんだな。
べんきょうしているときも、がっこうは一緒に見守ってくれているんだな。
となんだか不安だった学校という場所が、急にお友達のように身近な存在に思える
絵本です。新学期や新入学生のお子さんに読んでもらいたい一冊です(*^-^*)
学校や街並みの家々が、顔のように描かれていて、学校の気持ちが表情でも読み取れます。
《著者紹介》
絵:クリスチャン・ロビンソン
イラストレーター、アニメーター。ピクサー・アニメーション・スタジオや、セサミ・ストリート・ワークショップでの経験を経て絵本作家に。以後、多くの絵本を手がける。マット・デ・ラ・ペニャと共作の『おばあちゃんとバスにのって』(鈴木出版)は2016年のニューベリー賞を受賞、またはコルデコット賞オナー賞に選ばれる。翻訳絵本にはほかに『ことりのおそうしき』(あすなろ書房)『ガストン』(講談社)などがある。サンフランシスコ在住。
文:アダム・レックス
児童書作家。ニューヨークタイムズのベストセラーリスト入りした”Frankenstein makes a Sandwich and The True Meaning of Smekday"をはじめ、多くの児童書を手がける。アダムのはじめての学校は、フェニックスにある「ルックアウト・マウンテン小学校」だった。アリゾナ州ツーソン在住。
訳:なかがわちひろ
東京芸術大学卒業。児童書を中心に翻訳者として活躍するとともに、作家・画家として絵本や童話作品を多数手がける。作絵の絵本や童話に『天使のかいかた』(日本絵本賞読者賞・理論社)、『かりんちゃんと十五人のおひなさま』(野間児童文芸賞)『まほろ姫とブッキラ山の大テング』(以上、偕成社)、翻訳絵本に『どうぶつがすき』(日本絵本賞翻訳絵本賞・あすなろ書房)などがある。
※絵本より引用
【文:アダム・レックス 絵:クリスチャン・ロビンソン 翻訳:なかがわちひろ
出版社:WAVE出版】