くすのきだんちの管理人のモグラのもぐは夏休みも大忙しです。
くすのきだんちの住人のキツネさんは、音楽家で、今日から演奏旅行で留守にします。
もぐが見送りに出ると、今度はかけすの家族が海水浴でお出かです。
昨日はかえるさんが水泳の合宿へ出かけ、うさぎさんは実家に帰省し、
さるさんは友達の大工さんの仕事の手伝いでしばらく留守。
りすのコックさんも降りてきて、今日からお店を閉めて、
もりのホテルへかぼちゃのスープの研究に行くとか。
あとは9階、10階のフクロウさんとモモンガさんはお年寄りだから、
おうちでゆっくりしているかもしれないなと、モグはちょっと様子を見に行くことに。
すると、ドアの前には置手紙が・・・・。
もぐはどうやら、とうとうひとりの夏休みのようです。
もぐはあわてて、一階の玄関のドアを開けたままだったことに気が付き、
階段を駆け下りると、留守あらしがやってきて・・・
もぐは自分よりも何倍も身体も力も大きい、留守あらしに抵抗しますが、
一人の力ではかないっこありません。
するとセミの大群が中へ入って来て、たくさんの鳴き声で留守あらしを追い出します。
もぐとくすのきだんちは、危機一髪のところで助かりました。
もぐは住人が留守の間、大掃除をしたり、いつも以上に大忙しで働き、
みんなの帰りを待ちます。
数日して、住人がそれぞれにおみやげを持って帰ってきました。
りすのコックさんのレストランで、みんなのおみやげとおみやげ話を広げ、
ようやく賑やかな、いつもの、毎日が戻ってきました。
くすのきだんちは、子どもにとっても夢のおうち、あこがれのおうちなよう。
大きな木の中にあるらせん階段と、それぞれが暮らすおうちの窓、
夜の部屋からもれる灯りが美しくて、みんながいるということにホッとします。
《著者紹介》
作:武鹿悦子(ぶしかえつこ)s1928年、東京都生まれ。作品に『詩集・たけのこぐん!』(岩崎書店)、『ぴっつんつん!』(くもん出版)、『くすのきだんち』シリーズ(ひかいのくに)他多数。2011年5月第50回児童文化功労賞受賞。
絵:末崎茂樹(すえざきしげき)
1948年、大阪府生まれ。作品に「わんぱくだん」シリーズ・『やまねこせんせい おおいそがし』(ひさかたチィルド)、『ともだちだいすき』シリーズ(偕成社)、『くすのきだんち』シリーズ(ひかりのくに)他多数。
※絵本より引用
【作:武鹿悦子 絵:末崎茂樹 出版社:ひかりのくに】