フランスの古い民謡が元となっている絵本。
シュルヴィッツ作品らしい小さな丸枠に描かれた、あるげつようびのあさから
お話は始まります。
ページをめくるごとに丸枠はしだいに大きくなっていく。
最初は小さな雨の風景。
つぎにそれが窓から外を覗いていたことがわかり、
男の子が部屋の窓から雨が降る街をぼんやり見えていることがわかります。
雨の降るある月曜日の朝に、僕に会いにお客が訪れる。
お客は王様と、女王様と、王子様。でもその時僕は留守だった。
王子様は『そんならかようびにまたこよう』と帰っていく。
男の子はいつも留守で、このすれ違いが日曜日まで繰り返されることとなる。
繰り返されるたびに、お供の兵隊さんや、お世話係のような人が増えていき、
男の子の住むニューヨークのマンションの6階まで、お客様の行列が続く。
そしてまた印象的な丸い枠にフォーカスされていき、
そこにキングや、クイーンが描かれたトランプを持った男の子と、
外の景色は雨がやみ、すっかり晴れている外の風景が描かれている。
おそらく雨が降っている間の、ほんの短い時間の、男の子の願望や、空想を描いた
お話なのだと思います。
子どもは繰り返しのフレーズや場面がとても気に入ったようで、
日曜日でお話は終わってしまいますが、その後の男の子の空想の世界(続き)を
もう少し見たかったようです(*^^*)
トランプからまるで抜け出してきたような王様たちが雨の景色の中に、色鮮やかに
浮かび上がります。
2回目に読むときには、鮮明に描かれたニューヨークの街並みも楽しんでもらいたい絵本です。
《著者紹介》
作:ユリ・シュルヴィッツ
1935年ポーランドのワルシャワ生まれ。戦禍を避けてヨーロッパを転々としながら育つ。1949年にイスラエルに移住し、テルアビブの教師養成学校と美術アカデミーで学ぶ。兵役を務めた後、24歳でニューヨークに移り住み、ブルックリンミュージアム付属美術学校で学びながら、子どものたまのヘブライ語の本に挿絵を描き始めた。
1963年、絵本の処女作「The Moon in My Room」を出版。その後次々に「よあけ」(福音館書店)、「あめのひ」(福音館書店・絶版)等を出版。グリム、I.B.シンガー等と組んだ絵本のほか、アーサー・ランサムの文による「空飛ぶ船と世界いちのばか」(岩波書店・品切れ)の絵では、1969年のカルデコット賞を受賞した。ニューヨークのグリニッジヴィレッジ在住。
作:谷川俊太郎
1931年東京に生まれる。1952年に「二十億光年の孤独」(現在サンリオ刊)を発表。
以後「定義」(思潮社)、「コカコーラ・レッスン」(思潮社)等多くの詩集を発表。
近年では「女に」(マガジンハウス)、「世間知らず」(萩原朔太郎賞受賞、思潮社)等が話題を呼ぶ。子どものための詩集に、「ことばあそびうた」(福音館書店)、
「どきん」(理論社)、「ふじさんとおひさま」(童話屋)等、絵本の翻訳では「フレデリック」(好学社)、「くまはどこ?」(評論社)等、子どものための分野でも多くの仕事をしている。
※絵本より引用
【作:ユリ・シュルヴィッツ 訳:谷川俊太郎 出版社:徳間書店】