わたしではない、わたしの一番ちかくにいる”あなた”という存在。
あなたにとって、大切な”あなた”は何人いるだろう?
おかあさんのお腹の中から生まれて、
わたしとおかあさん(あなた)になった。
わたしとおとうさん(あなた)になった。
それから大好きな友達も大切な”あなた”だ。
背もちがうし、得意なことも違うし、違う心を持って、
わたしたちはいつも一緒にいる。
あなたは、たった一人だし、わたしも、たった一人だ。
ケンカをすることもあるけど、次の日にはいつの間にか一緒にいる。
あなたのことが大好きだから。
時にはあなたも遠くにいくこともあるかもしれないし、
わたし以外の”あなた”に出会うのかもしれないし、私もまた新しい”あなた”に
これから何人も出会うのかもしれない。
わたしたちは、ひとりでは生きていけない。
たくさんの”あなた”に出会って、わたしはわたしという人間になる。
でも、どんなに遠く離れても、会えなくても、ずっとあなたは、
わたしの大切なともだちです。
簡単な短い文章で、詩的に絵とともに綴られていますが、
すごく中身は哲学的で、これは大人の私も響きました。
幼児にはまだちょっと本当の意味で理解が難しいのかもしれません。
これからも大切な”あなた”と出会って、大切にしてもらいたい。
そして自分も誰かにとっての大切な”あなた”であることを忘れずに生きていってほしい
と思い読み聞かせしました(^^)/
《著者紹介》
文:谷川俊太郎(たにかわしゅうたろう)
1931年、東京に生まれる。著書に『谷川俊太郎全集』『定義』(以上、思潮社)、
『はだか』(筑摩書房)、『マザーグースのうた』(全5冊、草思社)、『みみをすます』(福音館書店)など。絵本に『あな』『わたし』『とき』『なおみ』『めのまどあけろ』『ことばあそびうた』『ことばあそびうた・また』『いっぽんの鉛筆のむこうに』『おはなししましょう』(以上、福音館書店)など多数ある。東京在住。
絵:長新太(ちょうしんた)
1927年、東京に生まれる。絵本に『おなら』『わたし』『おしゃべりなたまごやき』
『ぞうのたまごのたまごやき』『ごろごろにゃーん』『きもち』など。漫画に『なんじゃもんじゃ博士 ハラハラ編』『なんじゃもんじゃ博士 ドキドキ編』など。挿絵に『美乃里の夏』『それほんとう?』『ぬい針だんなとまち針おくさん』『ぞうのドミニク』『海竜めざめる』(以上、福音館書店)など多数ある。2005年逝去。
※絵本より引用