うどんづくりの元となる小麦を育てるところから始まるお話です。
子どもにうどんは小麦で出来ているんだよ~と伝えながら、
田植えの本は見かけますが、小麦を実際につくる工程は私も知りませんでした。
稲刈りが終わった田んぼを耕して、秋に種をまき、冬がやってくると、
ようやく麦の芽が出て来ました。
節分の頃に、むぎふみといって、少し伸びた麦を足で踏みならしていきます。
麦は踏むと丈夫になるのです。
真冬に雪が積もっても、麦は枯れません。地面の奥まで根をはって、
強く寒い冬も乗り越えていきます。
春が来て、5月のこどもの日を迎えると、穂が出てきて、麦の白い花が咲き始めます。
そして梅雨前にようやく収穫です。
収穫したら乾かして、脱穀という作業をして、麦をうどん用に、製粉します。
ようやくうどんの元になる小麦粉の完成です。
小麦粉にすこし水と塩を加え、混ぜ合わせていきます。
よくこねて、耳たぶぐらいの硬さになったら、ビニール袋にいれて、
子ども達が袋の上から足で踏んでこねていきます。
2,3時間ふとんをかぶせてねかせると、ふっくらと膨らみ、
机の上でのばして、広げて、包丁で細くきって、ほぐしたら大鍋でゆでたら完成。
私たちがよく食べているうどんの出来上がりです。
うどんを食べるまでに1年近くかかりました。
麦の踏みならしという工程は、驚きで、育って間もない麦を足で踏みつける作業は、
他の作物にはなかなか見かけない工程なのではないでしょうか?
女優の門脇麦さんの名前も、ご両親がつけたそうですが、
麦のように強い女性になって欲しいという願いが込められているそうです。
真冬の雪の中でも、すくすくと育ち、人に踏まれるたび、強くなり、
だから小麦特有のこしが出て美味しいんだなぁと思いました。
子どもになかなか田植えの経験はさせてあげる機会があっても、
小麦づくりを体験する機会も、目に触れる機会も少なかったので、
うどんがどんな成分で作られていて、どんな風に手をかけて作られているのか、
一から丁寧に知ることができる絵本です。
きっと小麦から育てて作ったうどんは、格別なことでしょう(*^^*)
スーパーで買えば、すぐに調理もせずに食べられるものも多く、
食材がどんな工程を経て、作られているか知る機会が少なくなってきました。
食べ物を口にする有難み、喜びを感じるきっかけになる一冊です☆彡
【作:菊池日出夫 出版社:福音館書店】