★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

石ころのスープ

 

トルコのお話で、ある村にたどり着いた旅人。どの家も鍵を3つもつけていて、

 

けちんぼうばかりが住んでいるケチケチ村でした。

 

お腹が空いてドアを叩いても、何もないよと追い返されてしまう。

 

本当はどっさりと食べるものがあるのに。

 

旅人はある家のドアをノックすると、中からおばさんが顔を出しました。

 

スープを一杯だけわけてください。そして泊めてもらえませんか?と旅人が言うと、

 

食べ物は自分のものしかないんだと断るおばさん。

 

庭を覗くと窯でパンを焼いていて、庭にはどっさりトマトがなっています。

 

”食べ物がないなら私がごちそうしてあげましょう”と旅人。

 

どうやって?何も食べ物をもっていないのに。

 

とびきりに美味しい石ころスープを作りますよ。

 

ちっともお金がかからないスープです。と伝えると、おばさんは興味を持ってくれました。

 

一番大事なのは、おいしいスープの素になる石ころ。

 

旅人は世界を歩きまわって見つけた石ころを取り出し、

 

大きな鍋を借りて、お湯を入れ、まるい石を入れ歌い出しました。

 

おばさんは不思議そうに鍋を覗き、石ころしかはいっていないじゃないか!と。

 

旅人は何も入れないほうがうまいんですよ。まぁちょっと塩コショウ足してもいいけど。

 

するとおばさんは塩とこしょうを持ってきて、入れました。

 

それから唐辛子の粉と、ハッカの葉っぱも持ってきます。

 

そのうちに、歌を聞きつけた村の子どもや大人が集まって来て、

 

石ころしか入っていない鍋を覗くと、他に何もいれないの?と。

 

旅人は何も入れないスープが大好きなんです。じゃがいもを入れる人もいるけど、

 

なくてもけっこう。あってもけっこう。

 

するとジャガイモを持ってくる人、ニンニクを持ってくる人、玉ねぎにネギ、

 

みんな次々にスープに入れる具材を持ち寄ります。

 

そして村中のみんなが集まり、完成したスープを一緒に食べました。

 

3つの鍵をつけて、ほとんど交流がなかった村の人々は石ころのスープで一つになり、

 

料理の美味しさや、みんなで食べる喜び、語り合うかけがえのない時間を

 

分かち合うことの素晴らしさをユーモアたっぷりに伝えてくれる絵本です。

 

旅人は石ころと一緒に、目には見えない幸せをプレゼントしてくれました。

 

お金がなくても、モノを所有しなくても、豊かに簡単に幸せになれる方法があることを

 

教えてくれる一冊です。

 

【文:ジュディス・マリカ・リバーマン 絵:ゼイネップ・オザタライ 

   訳:こだまともこ 出版社:光村教育図書 】

 

 

 


石ころのスープ