グリム童話で有名なヘンゼルとグレーテル。
お菓子の家というイメージが先行していて、実は今回物語をしっかり読むのは初めてです。
表紙がお菓子の家のわりに、黒や茶色を基調としたほのぐらい雰囲気に違和感を
覚えつつ、読み進めてみると、
なかなか内容は、子どもに読み聞かせするにはヘビーな内容でした。
貧乏が理由で継母に捨てられる兄弟が、ぺこぺこにお腹を空かせていると、
森の中にお菓子の家があるのを見つけ、二人はポリポリと食べ始めます。
その家には人喰い魔女が住んでいて、子どもたちにたくさんおいしい料理をふるまい、
太らせて最後食べてしまう!?
子どもたちは、知恵を使って魔女を退治し、たくさんの宝石を持って、
家に戻ると、継母はすでに亡くなっていて、実の父親と幸せに暮らすというお話。
ほのぐらい色彩の中、魔女がひときわ恐ろしい存在に描かれているけれど、
一番怖いのは継母、それを黙認している父親だ。
父親には子どもを最後まで守って欲しかったなぁと思います。
絵は色調が暗いものの、かわいい童話らしい絵になっていて、
子ども向けに描かれています。
しかし、グリム童話はやはり怖いお話が多いですね。
勇敢で、思いやりのある兄弟の果てしない冒険物語です!
お菓子の家は、何歳になっても夢があって憧れます(*^-^*)
《著者紹介》
監修:西本鶏介
奈良県生まれ。昭和女子大学名誉教授。児童文学や児童文化に対する評論、作家・作品論、民話の研究、創作など幅広く活躍。絵本や民話の再話も多い。また坪田譲治文学賞などの選考委員もつとめる。著書は各ジャンルにわたって600冊を超える。近刊の著書に『まよなかのたんじょうかい』(すずき出版)、「西本鶏介児童文学論コレクション(全3巻)」(第36回巌谷小波文芸賞特別賞受賞/ポプラ社)などがある。
文:小森香折
東京都生まれ。作家、翻訳家。『ニコルの塔』(BL出版)にて第5回ちゅうでん児童文学賞受賞、第22回新美南吉児童文学賞。作品に『里見家の宝をさがせ!』(偕成社)、
『レナとつる薔薇の館』(ポプラ社)、『かえだま』(朝日学生新聞社)、『パレルワールド』(文研出版)、『時知らずの庭』(BL出版)、絵本の翻訳に『びっくりたまご』(フレーベル館)、『喜劇レオンスとレーナ』(BL出版)など多数。
絵:吉田尚令
大阪府生まれ。書籍の装画や絵本などを手がける。『希望の牧場』(森絵都・作/岩崎書店)にて2016 IBBY :ONOUR LIST イラストレーション作品部門選定、第5回JBBY賞受賞。挿し絵を手がけた作品に「雨ふる本屋」シリーズ(日向理恵子・作/童心社)、『ショクパンのワルツ』(ながすみつき・作/フレーベル館)、絵本の作品に『悪い本』(宮部みゆき・作/岩崎書店)、『わたしおべんきょうするの』(角野栄子・作/文溪堂)など多数。
※絵本より引用
【監修:西本鶏介 文:小森香折 絵:吉田尚令 出版社:フレーベル館】