ヨーロッパで最古のデザートと呼ばれるフルーツ・フール。
フルーツと生クリームと砂糖を混ぜれば完成するシンプルなデザート。
300年前から現在まで受け継がれ親しまれてきたデザートです。
16世紀頃は、生クリームを泡立てる機械もなく、小枝をひもで束ねたものでした。
生クリームはと言えば、牛から乳をしぼり、フルーツは庭で育てたブラックベリーを
ひとつひとつ手作業で摘み、すべての工程が人の手によって行われていました。
もちろん冷蔵庫もないので、冬にできた氷を丘のあなぐらに保存している場所まで運び、
デザートを冷やしました。
200年くらい前になると、泡だて器はブリキなり、少し今の形状にも似てきたような。
ひとつひとつの道具の進化も楽しむことができます。
時代の違う4つの時代で、同じフルーツを作り、家族で食べる情景が淡々と描かれています。
その時代ごとに道具が進化したり、冷蔵庫があなぐらから木製の冷蔵庫になるも、
氷で冷やすという点はまだ変化がなく、永い歴史の中で便利になっていくものの、
愛され続けたデザートは、変わらず、300年もの間人々に受け継がれていくところが、
また素敵です(*^-^*)
途中2話目では、黒人の奴隷制度にも絵だけで触れていて、その時代の背景・文化・
空気感がみてとれます。
最後のページには4回繰り返して作られたデザートのレシピがあり、
子どもは作ってみたいと話していました(*^-^*)
《著者紹介》
文:エミリージェンキンス
アメリカ生まれ。ニューヨーク市在住。ワシントン大学で英文学の博士号を取得。
絵本『わたしの いえは ごにんかぞく』(トメク・ボガツキ絵/講談社)でボストングローブ・ホーンブック賞オナーに選ばれる。
絵:ソフィー・ブラッコール
オーストラリア生まれ。ニューヨーク市在住。『ぺろぺろキャンディー』(ルクサナ・カーン文/さ・え・ら書房)で、ニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞を受賞。Finding Winnieで2016年コルデコット賞を受賞。その他の絵本に『ねえ、おきてる?』
(光村教育図書)がある。
訳:横山和江
埼玉県生まれ。山形市在住。主な訳書に『サンタの最後のおくりもの』(徳間書店)、
「くまさんのおことわり」シリーズ(岩崎書店)、『わたしの心のなか』(鈴木出版)、『14番目の金魚』(講談社)がある。やまねこ翻訳クラブ会員。
※絵本より引用
【文:エミリー・ジェンキンス 絵:ソフィー・ブラッコール 訳:横山和江
出版社:あすなろ書房】