りんごを見て、りんごと疑わない大人が見ても、『りんごじゃないかもしれない』
いや『りんごかもしれない』この思考の行ったり来たりがとても面白い絵本です。
男の子の想像力は留まることを知らない。まさに無限ループ。
食卓に見つけた真っ赤な丸い物体を見て、男の子はこの物体の正体を知ろうと、
あらゆる想像を膨らませていくお話。
リンゴに見えて、中にはオレンジが入っているかもしれないし、
赤い魚が丸まっているのかもしれないし、
実は中はものすごいメカがぎっしりかもしれない。
この赤いものを育てていったら、みるみるうちに大きくなって、
壁を食べたら、真っ赤な、丸い家になるかもしれない。
らんご、りんご、るんご、れんご、ろんごっていう兄弟のひとりかもしれない。
この家にくるまで、今まで色んなところで、色んなものを見てきたのかもしれない。
そしてずっと見つめていたりんごかもしれないものを、かじってみることに。
男の子は何を思うのでしょう?
次にバナナを見つけました。
男の子の想像の世界はますます広がっていく。
絵本のすみずみまで、よく目を凝らさないと、面白いことをとりこぼしてしまいそうです。
端から端まで、最初から最後までユニークな絵本です(*^-^*)
男の子の想像の世界で翻弄されながら、もっとどこまでも振り回されていたいと
欲張りになってしまう。
子どもに、どうか面白い視点を持った大人になってくれと贈りたい一冊です☆彡
《著者紹介》
作:ヨシタケシンスケ
1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。
日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、広告美術など、多岐にわたり作品を発表。主な著書に、スケッチ集『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(講談社)、
『そのうちプラン』(遊タイム出版)、挿絵の仕事に「レッツ・シリーズ」(文 ひこ・田中/そうえん社)、『トリセツ・カラダ』(文 海堂尊/宝島社)などがある。
2児の父、本書が初の絵本作品となる。
※絵本より引用