他人が自分と違うものを持っていると羨ましかったり、憧れたりするけれど、
みんな自分以外のものにはなれないし、身の丈にあった暮らし方があり、
ありのままの姿で生きることが、一番の幸せなんだよと、
人生も何度もその遠まわりをしながら、最後はきちんと自分のあるべき姿に
戻って来ることを分かりやすく絵本で描ている作品です。
水の中の世界しか知らないさかなが、おたまじゃくしだったかえるが、
大人になって水の外の世界や暮らしを知り、その世界の話を聞かせてくれ、
まだ見ぬ世界を想像し憧れます。
そしてある日、思いっきり尾ひれで水面を叩き、陸にジャンプしたさかな。
水の中ではあれだけ自由だったさかなくんが、水の外に出た途端、
呼吸ができなくなり、身動きできずに、不自由な体に。
陸でちょうちょを追いかけていたかえるくんが、さかなくんに気が付き、
すぐに池へ戻してやりました。
すると、エラから冷たい水と空気を吸い、スイスイと身体が動くようになりました。
さかなくんは、さかなはさかなだなと改めて感じたのです。
今まで当たり前で、退屈だった世界に、
果てしない自由と、そこで生きる幸福を感じることができました。
ないものねだり、周りがまぶしく思えることもあるけれど、
自分に与えられた場所で生きることが、いちばんの幸せであることを、
大人も子どもにも、シンプルに投げかける一冊です(*^-^*)
私たちは生まれたときから、
すでに全てを手に入れている完全な存在なのだと気づかされます。
《著者紹介》
作:レオ=レオニ
1910年オランダのアムステルダム生まれ、イラストレーター、グラフィックデザイナー、および絵本作家として、米国でもっとも活躍した芸術家のひとり。作品には
”Little Blue and Little Yellow"、カルデコット賞次点で当社邦訳発行の「ひとあし ひとあし」(Inch by Inch)「スイミー」「フレデリック」「アレクサンダとぜんまいねずみ」。「せかいいち おおきな うち」(児童図書スプリングフェスティバル賞およびBIB金のリンゴ賞)「さかなは さかな」や、1964年最優秀作品としてアメリカ図書館協会の指定をうけた”Tico and the Golden Wings"など。
訳:谷川俊太郎
1931年東京生まれ。詩人として活躍、また絵本や記録映画の脚本も書く。1952年に第1詩集「二十億光年の孤独」を刊行、近作には、エッセイ集「んまであるく」詩集「はだか」、「女に」などがある。
※絵本より引用
【作:レオ=レオニ 訳:谷川俊太郎 出版社:好学社】