難民キャンプが舞台になった絵本に出会ったのはこれが初めてかもしれません。
ニュースでは、家族を戦争で亡くした子どもたちや、住まいや食べるもの、着るものに
困っている人々が映像で流れてくるものの、どこか身近ではなく、
難民キャンプで暮らす人々の日常や暮らし、人生を私はよく知らない。
少女ふたりの友情を通して、難民キャンプの現状や歩む人生を、
ふたつの純粋な心を通して、物語は出会いと別れを描いているが、
読み進めていると、涙に文字がぼやけてくる。
難民キャンプで出会う二人の少女。
お互いに支給されたサンダルを片方ずつ見つけ、出会う。
一人は、片方だけのサンダルじゃ意味がないからと自分の持っている片方のサンダルを差し出し、
また一人の少女は、両方のサンダルを差し出そうとする。
サンダルで出会った二人は、これは二人のサンダルだから毎日、順番に
サンダルを履くことになりました。一人が履けば、一人はその日裸足で過ごします。
そしてアメリカへ移住が決まり、二人は離れ離れになることに。
旅立つ友人に両方のサンダルを渡すと、
少女は、これは私たち二人の友情の証だからと、またサンダルを片方ずつ
大切に持っていることにしました。
この絵本をどうか出来るだけ多くの人に知ってもらいたい。
彼女たちの想いが伝わるといいなぁと思いました。
私の子どもたちは、日本で生まれ、ありがたいことに、
毎日温かいご飯が食べられる環境で、
雨風をしのげるおうちがあり、毎日綺麗になった洋服に袖を通すことができ、
外を裸足で歩いて生活したこともありません。
難民キャンプの子どもたちも、同じ子どもなのに、暮らしぶりはかけ離れている現実に、
現実のこととして受け止めるのに時間がかかっていました。
想像を超えていたのでしょう。まだ自分の知らない世界がここにあり、
無限に広がっていることを教えてくれた絵本となりました。
《著者紹介》
作:カレン・リン・ウィリアムズ
世界中の子どもたちが直面している難題をテーマにしている作家。中米のハイチ共和国とアフリカのマラウイ共和国に住んだことがあり、現在はアメリカ・ペンシルヴァニア州、ピッツバーグ在住。難民支援のボランティア活動に従事。
作:カードラ・モハメッド
ビッツバーグ難民センター所長。アメリカ国内外で20年以上にわたり、難民の救援に携わる。ビッツバーグ在住。
絵:ダーク・チャーカ
画家。児童書の挿絵を多数手がける。ブラット・インスティチュートでイラストを教えている。ニューヨーク州ブルックリン在住。
訳:小林 葵
1992年、東京都生まれ。都立高校在学中。
2009年、第15回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)大賞受賞。趣味は読書。
※絵本より引用
【作:カレン・リン・ウィリアムズ 作:カードラ・モハメッド
絵:ダーグ・チャーカ 訳:小林葵 出版社:岩崎書店】