私が長編の星の王子様を読んだのは、もうすっかり大人になってしまってからだった。
読んだときの感想は、これをもっと若い頃に読んでいたら、どんな感想を抱いたのだろう?
大人になって読むと、シンプルな言葉以上に、ストーリーの深さや奥行き、
たくさんのメッセージが詰め込まれた本なのだと思い、
これを人格形成している大切な多感な時期に読んだらどんな大人になるのだろうと
興味が湧きました。
でもあの長編を子どもに読ませるのは難しいし、そんな時に出会った絵本で出会う星の王子さま。
絵本になって、より一層少ない言葉数で、ちゃんと世界観が壊れていないことに感激。
子どもの視点にたって、描かれていて、欲しいものを欲張りすぎても、
大切にできないこと。ひとりの人間か抱えられるもの、持てるものは限られていること。
そして大事にすることの大切さ。バラのわがままに疲れ星を離れた王子様。
離れて初めてバラの気持ちに寄り添うことができました。
色んな星を旅して、たくさんの変わった大人に出会い、
人生において何が大切なことか、価値あることなのかを王子様と一緒に
見つめます。
旅を通して出会ったかけがえのない友達。
別れはつらく寂しいけれど、ずっと自分の心の中に生き続け、
距離など本当は関係ないのだということを知ります。
そしてバラという存在がどれだけ自分にとって大切だったかを、
離れてみて、初めて気が付きました。
きっと子どもたちの心の中に、星の王子様はこれからも生き続けます。
これからの未来を生きる子どもたちへ、これからを生きる指針となって。
《著者紹介》
原作:サラ・テグジュペリ
作家、飛行士。1900年フランスのリヨン生まれ。子どもの頃に飛行機に乗ったことがきっかけで、空への夢を膨らませるようになった。大人になってから、フランスの民間郵便飛行機のパイロットとなり、たくさんのフライトを経験。第二次世界大戦中は、連合軍の偵察飛行を任務とする部隊に所属。1944年、飛行中に消息を絶ち、行方不明となる。著書に『夜間飛行』(1931)、『人間の土地』(1939)、『星の王子さま』(1943)など。『星の王子さま』は出版と同時に多くの人に読まれ、20世紀中、最も多くの言語に翻訳された文学作品となった。
訳:工藤直子(くどうなおこ)
詩人、童話作家。1935年生まれ。『てつがくのライオン』(理論社)で日本児童文学者協会新人賞、『ともだちは海のにおい』(理論社)でサンケイ児童出版文化賞、『のはらのうたV』(童話屋)で野間児童文芸賞を受賞。また、2004年それまでの創作活動に対して巌谷小波文芸賞が贈られる。その他の著書に『こどものころにみた空は』(理論社)、『新編あいたくて』(新潮文庫)など多数。若い頃に『星の王子さま』と出会い、とても大切な作品として『星の王子さま』を何度も読み返してきた。
※絵本より引用
【原作:サラ・ラグジュペリ 訳:工藤直子 出版社:ひさかたチャイルド】