アルゼンチンのウィチーの人々に伝わるお話です。
ウィチーの人々が住むグランチャコは乾燥したサバンナ気候で、狩猟したり、
川で魚を捕ったり、木の実を採取しながら、自然と調和しながら生きてきた、
民族の歴史がお話のベースになっています。
大切な火を独り占めするジャガーに、ほかの動物たちは、火をわけてもらおうと
かけあいますが、ジャガーは分け合おうとしません。
そこで火を盗もうとモグラに似たツコツコが、トンネルを掘って、ジャガーの近くへ
行こうと試みますが、耳の良いジャガーに気がつかれ失敗。
今度はウサギが魚をおみやげにジャガーの火を盗もうとすると、
その火だねが山火事を起こし、怪我の功名で、みんなに火がいきわたることになりました。
そして木の内側に火が入りこみ、
木をこすればいつでも火を起こせるようになりましたというお話。
厳しい自然の中で、移り変わる時間と共に、生きていくために知恵を絞り、
みんなで助け合いながら、力強く生きてきたウィチーの人々の生き様が、
絵本に描かれています(*^-^*)
アルゼンチンのグランチェコに生息する珍しい動物が登場するところも、
愉しみの一つです!
《著者紹介》
再話:宇野和美
1960年生まれ。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、出版社勤務を経て、スペイン語の翻訳に携わる。スペイン語圏各国の絵本、児童文学の紹介に力を入れている。主な訳書に『アルマの名前がないわけ』(ゴブリン書房)、『見知らぬ友』(福音館書店)、昔話の再話に『まめつぶこぞうパトゥフェ』(BL出版)がある。ミランフ洋書店店主。
絵:パブロ・ピシック
1978年ブエノスアイレス(アルゼンチン)生まれ。イラスト、グラフィックデザイン、絵画、彫刻などの分野で活躍する。幼いころから、ひまさえあれば絵を描いてきた。アルファベット絵本”Una super sandia"(「スーパースイカ」2014)ノンフィクション絵本
”Quimica hastaen la sopa"(「スープの中まで化学」2011)など、25点以上の絵本や児童書を手がけている。
※絵本より引用
【再話:宇野和美 絵:パブロ・ピシック 出版:玉川大学出版部】
火をぬすんだウサギ ―アルゼンチン ウィチーのおはなし― (世界のむかしのおはなし)