前作の『びんにいれてごらん』の対となる今作。
びんにいれてごらんでは、たくさんの思い出や、美しいと感じる景色、
季節をたくさん瓶の中にいれて集めた素敵なお話でした。
今作は自分の気持ちに翻弄されたくなくて、怖い気持ちも、さみしい気持ち、
怒り、喜び、寂しさ、嬉しさ、恥ずかしさ、色々な強い気持ちを
瓶に封じ込めます。しだいに自分の心は静かになっていきますが・・・
ある友達がきっかけに、たくさんの気持ちがあふれだし、一度あふれ出した気持ちは、
色んな感情が入り混じります。カラフルな自分の感情の素晴らしさを知り、
またありのままの自分の気持ちを受け入れることの大切な気づくことができました。
前作と今作の瓶が、全く違う役割を果たしているところが面白いと思います。
封じ込めたいこと、封じ込めることのできなもの、
瓶は便利だけど、完全ではない、割れてしまうこともある。
いつか壊れてしまうかもしれないもろさ一面を持った瓶は、
どこか人間という入れ物に似ているように思う。
今作もとにかく色彩と繊細な絵が美しく、あらゆる感情が爆発して、
入り混じって虹色を描いたページが一番のお気に入りです。
虹色に溶けだし混ざった感情は、主人公にうれしいのに、ちょっとさみしかったり、
心配なのに、わくわくしたり、
多様な気持ちが入り混じり一言では表されない感情知り、受け入れる重要な場面です。
主人公の心がより豊かになっていく様子が描かれています。
普段外へ意識が向きがちですが、時には自分の内面と対峙する時間や、
ありのままを受け入れることの大切さを教えてくれる一冊です☆彡
【作:デボラ・マルセロ 訳:なかがわちひろ 出版社:光村教育図書】