ラチは、世界で一番弱虫で、怖がりな男の子です。
ラチは飛行士になる夢がありましたが、今のままでは、叶いそうにありません。
犬をみるだけで逃げ出し、暗い部屋も怖くて近づけない。
友だちさせ怖くて、ひとり泣いてばかりいました。
そんなラチの前に、小さなかわいい、らいおんがあらわれました。
でもこんなに小さくてかわいいのに、実はとても強いのです。
らいおんはらちに強くなるために色んな事を教えてくれました。
それは決して難しいことではありません。
一歩外に出てみたり、身体を動かしてみたり、話しかけてみることでした。
ラチはらいおんが側にいてくれれば、どんな時も強くなれる気がしました。
暗い部屋にも行けるし、犬から友達も守れるし、重いものだって運べるし、
自分より大きな身体をした子からボールだって奪いかえせえるようになりました。
そんなある日、らいおんがラチの前から突然いなくなりました。
ラチは部屋に置かれていた、らいおんからの手紙を読みながら泣きました。
でも弱虫だからではありません。もうラチはらいおんがいなくても、
強く勇気のある少年に成長しました。
きっと飛行士になる夢も叶えられる、ラチはそう思いました。
弱虫もわるいことではない、その分慎重に行動することができる長所でもある。
そして、もし強くなりたいと思った時に、それは何も特別なことをするわけではなく、
一歩踏み出す勇気だけ。一歩前へ踏み出したら、次の一歩に繋がる。
毎日の日常の中に強くなるきっかけが転がっている。
ひょっとしたら、もうとっくに強い君になっているのかもしれません。
強そうに見えない小さくてかわいいらいおんの存在は、
たくさんの子どもたちを元気にしてくれることと思います(*^-^*)
【文・絵:マレーク・ベロニカ 訳:とくながやすもと 出版社:福音館書店】