夜、お布団の中に潜り込んで、眠りにつくまでのわずかな時間のお話です。
電気をパチリと消して、暗闇が広がる部屋の中で、
そこは見慣れた自分の部屋のはずなのに、昼間とは様子が違ってみえる。
外から聞こえてくる音がみょうに不安を掻き立てます。
風のヒューという音がオバケの声に聞こえたり、カーテンがひらひらとはためけば、
誰かが部屋に入ってきたのでは?と感じ。
ちがうちがう、きっと風の音だ。
外から笑い声が聞こえてくると、オバケがこちらを見て笑っているんじゃないか。
オバケは一人じゃなくて、実は大勢いるのかもしれない。
ちがうちがうお隣さんの笑い声だ。
ネコの喧嘩する声は、オバケに怯えているように聞こえ、
ちがうちがうだたの喧嘩。
犬が仲間を呼ぶ遠吠えは、恐ろしい声に変わる。
遠くで鳴り響く花火のドーンと言う音は、巨人がこちらへ近づいているように感じ、
ちがうちがう、遠くの夜空にあがる花火。
部屋へ足音がせまってくる音がし、目をぎゅっと閉じて、布団の中で隠れて恐怖と
静かに戦っていると、ギィーッと気味の悪い音とおもに、
やはり足音が自分に近づいてくる。
電気がパッとつけられると、そこには仕事から帰ってきたお父さんが。
眠りにつくまでのわずかの時間、どうして夜は暗いだけで、
こんなにも心が恐怖へ傾くのだろう?
その度に自分で自分をちがうちがうって励ましながら。
次から次から頭に流れ込んでいく、怖い想像。
止めたいし、やめたいのに、止まらない。
そのうちに、いつの間にか、眠りの中へ。
気がつけば、朝になっている。
子どもの時も、大人になってからも、こんな夜がある。
絵本を読みながら、どんな結末が待っているのかわからなくて、
お父さんだとわかるまでは、ドキドキしながら、子どもと緊張感のある、
読み聞かせ時間になりました。
寝る前に読むことは、ちょっとできないかな~(*^-^*)
イラストもかわいいのに、私たちの想像する力が、スリルある絵本へ!
《著者紹介》
作:accototo(ふくだとしお+あきこ)
絵本作家。作品に『みんなにこにこ』『だれのあしあと』『きょうのそらはどんなそら』(大日本図書)、「うしろにいるのだあれ」シリーズ(幻冬舎)、『ポポくんのミックスジュース』など『ポポくん』シリーズ(PHP研究所)などがある。タオルや陶器のイラスト、壁画、絵画など幅広く活躍。
※絵本より引用
【作:accototoふくだとしお+あきこ 出版社:大日本図書】