NHKふつうってなんだろう?のショートアニメを書籍化した作品。
”ふつう”って人それぞれで、実は何が普通かはよくわからないし、
普通なんて本当はあってないようなものかもしれません。
あなたの普通と、わたしの普通は、感じ方だってちがう。
発達障がいや、HSCといった感覚が人よりも敏感で、優れている人たちがいる。
他の誰かにとって何でもないことが、また別の人にとっては、
辛く、苦しいこともある。
当事者たちが、どんな世界で生きているのかを、わかりやすくまとめてある絵本です。
ひかりが痛いほどに眩しく感じ、太陽の光だけでなく、家の蛍光灯や、
パソコンやスマホから漏れる光(ブルーライト)が痛かったり、疲れやすかったり。
味はサラダの中の野菜たちが一挙に味を主張しはじめ、気持ちが悪くなってしまったり、
味が変化したり、混ざったりするのが不快に感じ食べられなかったり。
嫌いな食べ物ではないのに、混ざる事で食べられなくなってしまい、
好き嫌いが多い子と勘違いされてしまったり、わがままだと思われたり、
そうした周りの目は、食べられないこと以上に、辛いこと。
音は、遠くの音も、近くの音も、同じぐらいの音量で聞こえてきて、
いろんな音が混ざり合い、騒音となって、耳に押し寄せてくる。
目の前の人の話に耳を傾けたくても、他の音も一緒にはいってくるので、
うまく聞き取れなかったり、必要以上に疲れてしまったり。
みんなと違う感覚をもっていることで、困り事を抱えている人がいるということを
教えてくれる絵本です。
またこの絵本では、当事者の困っている経験談が語れるだけでなく、
実際にどのように対策しているかまとめられている点もいいなと思います。
当事者の経験談は、同じように困っている人の心に寄り添い、
”わたしだけじゃないんだ”という心の支え・味方になってくれる絵本だと思います。
自分の生きる世界が絶対ではなく、色んな感じ方・工夫の仕方、考え方があるんだなと
気付かせくれます。
《著者紹介》
語り:フミヤ
「自分のものの感じ方について話すようになったのは、先生との出会いからでした。しだいに『自分と同じ思いで苦しんでほしくない』という気持ちが強くなり、最近では、苦しんでいる子の気持ちを代弁したり、発信する活動をおこなっています。作品を通じて、より多くの人と新たに共有できる可能性を強く感じました。少しでもたくさんの人に知っていただけたらと思っています。」
絵:今津良樹(いまづ・よしき)
1985年静岡県生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。
国内外の映画祭で上映された「モフモフィクション」などオリジナル短編アニメーション作品の他、MVや広告などのアニメーションを制作している。
※絵本より引用
【語り:フミヤ 絵:今津良樹 編集:NHK「ふつうってなんだろう?」制作班
出版社:ほるぽ出版】
ひかり、あじ、おとが イタイんです (NHKふつうってなんだろう?えほん)