宇宙が誕生して138億年。地球が誕生して48億年。
私たちが人間になるまで果てしない道のりを歩んで、いくつもの奇跡が重なって、
今ここに生きている不思議。
私たちは原子という小さな粒が集まってできている。
みんな一粒の原子から始まって、その粒がくっついて大きくなって、
分裂したりしながら、途方もないほどの長い年月を経て、変化していきました。
それはどんな旅だったのでしょう?
もしかしたら、私たちの身体の細胞のひとつひとつに記憶されているかもしれません。
宇宙に興味があるなら、昔星ひとつない真っ暗な宇宙を飛んでいたのかもしれないし。
星が美しいと感じるのなら、昔星の美しい光に吸い込まれて、
友達と一緒に星の一部になったのかもしれません。
原子はどんどん集まって、星もどんどん大きくなり、
やがて大爆発を起こして、また宇宙に放り出されてしまったのかも。
近くの隕石にのると、今度はマグマの星に向かい、マグマの星は生まれたばかりの
地球。地球に隕石がぶつからなくなると、マグマはさめて、
マグマのゆげはぶあつい雲になり、雨が1000年も続き、やがて海になった。
うみにとけていった君は、うみの中で、無数の原子と色んな形をつくり、
細胞へ進化して、分裂を繰り返しながら、もっと大きな体をつくりはじめた。
そのうちに魚へ進化していき、海から陸にあがりたいと、
何度も水から離れる練習をしているうちに、やがて手や足が出来て、
水の外で暮らせるようになった。
陸に上がると、大きな体をした恐竜が現れた。恐竜になれなかった僕は、
とてもうらやましかった。
しかしまた隕石が降ってきて、大きな恐竜たちは絶滅していきました。
小さいおかげで生き残った僕は、
大きな木に登って暮らすようになった。そのうちに木の下に降りると、
草原が広がっていて、後ろ足でたちあがって歩くようになり、やがて人間の姿に
進化していった。
現代まで人間はいろんな発明をしていった。手と足を上手に使えるようになり、
生きていくための道具を作ったり、服を作ったり、料理をするようになったり、
暮らしはどんどん便利になっていった。
人間同士で戦争をしたり、その度に誰かに助けられて、支えられ生きてきた。
色んな夢もたくさん叶えてきた。
今の自分は太陽や、宇宙や、星や、いろんな生き物と繋がって、
関係して生きているのだ。
この絵本は東京の国立科学博物館の地球史ナビゲーターから生まれた絵本です。
自分の過去を辿る壮大な旅が描かれています。
子どもには難しい内容のようですが、こうして絵本になるととてもわかりやすい。
登場人物の僕が黒色で終始描かれていて、昔どんな形でどんな大きさをしていたのか、
進化の過程をずっと辿っていくことができます。
《著者紹介》
作・絵:坂井治
埼玉県出身。多摩美術大学卒業。株式会社ロボットに所属し、アニメーション・イラストレーション・絵本など様々な創作活動をしている。国立科学博物館の地球館1階「地球史ナビゲーター」映像ディレクション及びアニメーションを担当。主な絵本に「金のまきば」(新風舎)、「す~は~」(福音館書店かがくのとも)、アニメーションにNHKみんなのうた「PoPoLoouise」「おおきなおなか」などがある。
※絵本より引用
【作・絵:坂井治 出版社:光文社】
13800000000ねん きみのたび (HERS BOOKS)