わたしはからだをくねくね、すいすい泳ぎ、
口をぱくぱく動かして食べることができた、魚のみんなのおばあちゃん。
わたしは爬虫類や、哺乳類たちみんなのおばあちゃん。
陸に上がり、すーはーと空気をすったり、はいたり。
足で地面をはいはいして進むことができる。
わたしは哺乳類みんなのおばあちゃん。
こどもをぎゅっと抱きしめて、うれしいときには声を出して鳴く。
わたしは人間たちみんなのおばあちゃん。
二本の足で歩き、みんなでおしゃべりをしたり会話を楽しみます。
いろんな進化での大切な分岐点に立った、おばあちゃんが主人公になっている絵本。
人間が誕生するまでに、たくさんの進化を経たことがわかる。
進化の系統樹がうしろのページにあり、その枝分かれした生物たちを追っていくと、
進化の過程がとてもわかりやすい。
人間も魚のように口をぱくぱく動かすことができるし、
爬虫類のように陸で息を吸うことができ、哺乳類のように、
子どもを抱きしめたり、お乳をあげることができ、
二本の足で地面の上を歩き、色んな感情を表現し言葉で伝えること、
話を聞くことができるようになりました。
自然淘汰されて、もう絶滅してしまった生物も多くいます。
人間が誕生するまでのことが描かれていますが、進化は人間をめざしてきたわけではなく、
たくさんの生物に枝分かれしていることにも気が付きます。
私たち人間も、もしかしたら違う生物だったかもしれない。
この絵本では私たちの祖先は魚からはじまっていますが、もっと大昔は、
目に見えない小さなひとつの細胞から始まっています。
子どもがわかりやすいように、身近な魚から進化のお話が始まっています☆
そして昨今たくさんのかわいい犬の種類が増えていますが、
それは自然選択と呼ばれる進化ではなく、人間によって選んで、かけあわされてできた
人為選択と呼ばれます。金魚などもそうです。
子どもにいろんな尺度で進化について話す機会になる一冊です(*^-^*)
《著者紹介》
文:ジョナサン・トゥイート
アメリカのゲームデザイナー。『ダンジョンズ&ドラゴン』などのロールプレインゲームの開発に携わる。幼い娘に進化を分かりやすく伝える絵本を作りたいと構想を練りはじめ、15年を費やして本書を完成させた。米のクラウドファンディングサイト「キックスターター」で資金を募り、2015年に自費出版し、話題となった。
絵:カレン・ルイス
アメリカのイラストレーター。物語、科学、歴史など、さまざまなジャンルの子どもの
本や漫画の絵を描いている。正確で親しみやすく、楽しい画風に定評があり、動物園、水族館、美術館、学校などでも活動。夫と息子と3匹の猫、4羽の鶏、4万匹のミツバチとともにシアトルに住む。絵本に『Amazing Alaska!』『Will It Blow?』(未邦訳)などがる。
訳:真鍋 真
1959年、東京都生まれ。イギリス・ブリストル大学理学部地球科学科で博士号を取得。
1949年より国立科学博物館地学研究部に勤務し、恐竜など中生代の爬虫類や鳥類の研究を行っている。現在は標本資料センター・コレクションディレクター(センター長)を務める。『せいめいのれきし 改訂版』(岩波書店)をはじめ、恐竜の図鑑や翻訳書の
監修を数多く手がけている。
※絵本より引用
【文:ジョナサン・トゥイート 絵:カレン・ルイス 訳:真鍋 真
出版社:岩波書店】