ねずみのお母さんと、四人のねずみの兄弟のお話です。
ある日お母さんは、大きくなったねずみの兄弟たちに自立を促します。
一人前のねずみとして世の中を生きていくには、大切なことがあって、
それは・・・
人間に存在がばれてしまわないように、
とにかく小さな声で話すこと。
そしておそろしい猫に気を付けること、
それから、不自然な板の上にバネと美味しそうなチーズがあったら、
決して食べない事。なぜならネズミ捕りのしかけだから。
お母さんは楽しい歌にしながら子どもたちに生きていく術を教えていくなか、
末っ子のねずみのやかましヤカちゃんは、
どうしても声を小さくできず、大きな声で、
『わかったよ!』と家が揺れるほど元気な声で、返事をしてしまい、
兄弟やお母さんからシーッと怒られてしまう。
このやりとりが何度も繰り返され、子供も大人も可笑しくて、何度読んでも笑ってしまう。
そんな一番心配なヤカちゃんは、自分の短所に思える声の大きさを
生かして人間に存在がばれてしまうどころか、
その存在を認められて、幸せに一緒に生きていく結末にほっこりとします。
一見短所に見える特性も、裏を返せば長所に変身し、
たくましく、ありのままの自分で、強く生き抜いていくヤカちゃんに、
笑顔と元気がもらえる一冊です(*^-^*)
読み聞かせには年長さんから、一人読みには小学1,2年生からおすすめの本です。
絵のページも多く、はじめての一人読みにも読みやすい本だと思います。
《著者紹介》
作:リチャード・ウィルバー
詩人、翻訳家。1922年、アメリカのニューヨーク市に生まれ、少年時代をニュージャージーの農場ですごす。ハーバード大学で文学修士の学位を受けたのち、詩、翻訳、評論などの分野で活躍、子どものための詩の本も出版している。1957にピューリッツァー賞受賞。「番ねずみのヤカちゃん」は、1963年に出版され、その後、ストーリーテリングによって多くの子どもたちに親しまれている。
【作:リチャード・ウィルバー 訳者:松岡享子 画家:大社玲子
出版社:福音館書店】
※本作より上記引用