弟思いのやさしいお姉ちゃん、ジェニーは4歳の女の子。
弟のクリストファーは、もうすぐ3歳の誕生日を迎えようとしている。
おかあさんと一緒にジェニーは、誕生日プレゼントを選びに買い物に出かけました。
おもちゃ屋さんで、私も欲しいとダダをこねることもなく、
しっかりもののお姉ちゃんは、弟に自分のお小遣いで、こねこの形をした、
かわいいチョコレートをプレゼントすることにしました。
そして誕生日の日まで、弟にプレゼントがバレないように、
お母さんは食器棚におもちゃを隠して、ジェニーは自分の部屋のたんすの引き出しに
隠しました。
その晩、チョコレートが気になってしまって、ジェニーは眠れなくなりました。
”『こねこのチョコレート、ひとつ たべたいな』”ジェニーはひとつだけと
自分に言い聞かせて食べてしまいました。
またベッドに戻ったジェニーでしたが、チョコの味が後を引きます。
もう一つだけ、
もう一つだけ・・・・
しばらくすると、箱の中のねこのチョコレートは、ひとつも、残っていませんでした。
ジェニーはとうとう全部食べてしまいました。
次の日はクリストファーのお誕生日です。
お父さん、お母さん、おばあちゃんがそれぞれプレゼントを渡すと、
クリストファーは大喜び。
”『ジェニーからもプレゼントがあるのよ』おかあさんが、いいまいた。”
ジェニーは下を向いたまま、チョコの箱をかかげ、
自分をはずかしく思っていました。
クリストファーはまたまた大喜びで、箱を開けると、中はからっぽでした。
”『ほんとうにごめんなさい』ジェニーは、すすりなきました。”
おとうさんが部屋に入って来て、クリストファーを呼びました。
なんと一緒に住んでいる黒猫のティブルが、自分のバスケットの中で、
子猫を3匹産んでいたのです。
お父さんは『クリストファーの誕生にティブルもプレゼントをくれたよ』と。
クリストファーは”『チョコレートのこねこより、ほんもののこねこのほうがずっといいや!』”と大喜び。
家族がみんなにっこり笑顔になりました。
息子へ読み聞かせしていると、ジェニーがいけないことをしているというのがわかるようで、
だんだん結末が怖くなってしまって、私の背中に隠れてしまいました笑
ジェニーが怒られると思って、怖かったそうです。
でも結末は予想外にほっこりと、幸せに包まれていて、ホッとしました。
しっかり者のジェニーも、ちゃんと4歳の女の子だったんだなぁ~と
とても微笑ましくなります。
そして、家族も決してジェニーを責めるわけでもなく、
温かく見守っている姿が素敵です。
《著者紹介》
作:B・K・ウィルソン
1929年、イギリスに生まれる。ロンドンやシドニーの出版社数社で編集者として活躍する。1976年からはフリーの立場で編集顧問を務める。著者も多数あり、幼い子ども向け
のお話の他、少年少女向けの小説も書いている。他に、各国の昔話の再話も多数ある。
現在はシドニー在住。
※絵本より引用
【作品:こねこのチョコレート 作:B・K・ウィルソン 絵:大社玲子
訳:小林いづみ 出版社:こぐま社】