友達も家族もいない巨人が、寂しくて、自分の住んでいる場所に、
街から家を、そこに住む人々を盗んでいきます。
巨人は盗んだ人々に、その代償として願い事をなんでも叶えますと伝えると、
人々は、私たちだけでは寂しいので、自分たちの家族を、友人を連れてきてくださいと
言い、みんな連れてくると、今度は私たちだけでは不便なので、
お店を持ってきてくださいと言い、
その数はどんどん増え、とうとう街まるごとを盗むことになりました。
巨人の周りには、人が溢れましたが、
巨人のさみしさは、解消されるどころか、募るばかりでした。
一人でいる寂しさよりも、誰かと一緒にいる寂しさのほうがつらい。
巨人はとうとう耐えられなくなって、自分が盗んで作り上げた街から一人離れました。
すると、以前に巨人が盗んだ街に、たった一軒、たった一人の少年が、
今もそこで独りぼっちで暮らしていました。
少年は街の誰からも選ばれず、声がかからなかったのです。
巨人と、少年は、寂しさを分かち合い、初めて互いの友達になりました。
それからは二人で話をしたり、サンドイッチをほお張ったり、
楽しい時間を過ごしましたというお話です。
巨人は街を盗むことは出来ても、人の心までは盗むことは出来なかった。
同じ孤独を少年と共有することで、巨人は寂しさと向き合い、寂しさを克服しました。
賑やかな大勢の人の中にいても、さみしさを抱えている人もいる。
たった一人の心を許せる親友がいるだけで、幸せになれることもある。
単行本サイズの小さな絵本の中に、大きなメッセージが込められています。
色彩も綺麗で、子どもから大人まで楽しめる絵本です(*^-^*)
【作:junaida 出版社:福音館書店 】