"アルマの名前をぜーんぶ書くと、アルマ・ソフィア・エスペランサ・ホセ・プーラ・カンデラ。”
外国人の名前には、その家の歴史が刻まれている。
画家のピカソの本名を知った時、なんて長い名前なんだろう。
本人も自分の名前を覚えられるのかな??といらぬ心配をしてみたことがある。
アルマも自分の名前がなんで長いのかパパに聞いてみた。
パパはアルマの名前の、ひとつひとつに物語りがあるんだと話した。
”ソフィアは、おまえのおばあちゃんからもらったんだ。
おばあちゃんは、本と詩とジャスミンの花が大好きだった。もちろんパパのこともね。
パパに字のよみかたをおしえてくれたのは、おばあちゃんだよ”
”『わたしも、本や花がすき。それに、パパもだいすき!』
わたしはソフィア”
”『エスペランサは、おまえのひいおばあちゃんの名前だよ』と、パパがつづけます。
『ひいおばあちゃんは、ずっと旅にあこがれていた。生まれた町から出ることはなかったが、
ひとりむすこは船のりになって、七つの海をめぐったんだ。ひいおばあちゃんの心は、
むすこといっしょに旅をしたのさ』
『世界って、ひろいね!わたしもあっちこっち行ってみたい。パパといっしょに!
わたしはエスペランサ』”
パパといっしょに、アルマのひとつひとつの名前に込められた物語をたどっていき、
自分という人間がどのように生まれて、先祖と繋がっているかを知る旅の最後に、
アルマの名前についてきくと、
”『アルマは、パパがおまえのためにえらんだ、とっておきの名前さ。
うちの家族で、おまえがさいしょのアルマだ。アルマのものがたりは、これからおまえがつくっていくんだよ』”
私たちが生まれて最初に受け取るプレゼントは、一生もの。
先祖を大切にする文化は外国も日本も同じ。
たった一人で生まれてきた人はいない。みんなたくさんの歴史を繋いで、
この世に生まれてくる。
子どもと名前の由来など話すきっかけや、
自分はどんな風にこの世に生まれたかのルーツを知るためのきっかけにいい一冊です!
《著者紹介》
作:フアナ・マルティネスーニール
ペルーの首都リマ生まれのイラストレーター。2018年、La Princesa and Peoの絵で、
プーラ・ベルプレ賞(ヒスパニック系作家による、すぐれた児童書に贈られる賞)を
受賞。本書(原題「Alma and How She Got Her Name(英語)」/Alma y como obtuvo su nombre(スペイン語)」)は文と絵の両方をかいたはじめての絵本で、2019年コールデコット賞オナーを受賞した。現在は夫と3人の子どもとともに、米国アリゾナ州に暮らしている。
※絵本より引用
【作:フアナ・マルティネスーニール 訳:宇野和美 出版社:ゴブリン書房】