【作品:おたんじょうびおめでとう 作:ハッチンス 出版:偕成社】
今日が誕生日のサムくん。
朝、パパとママからボートのおもちゃを誕生日プレゼントにもらいました。
さっそくもらったボートをキッチンの流しに水をためて、浮かせようとしますが、
キッチンに手が届きません。
そうだ、まだ着替えてなかったと部屋に戻り、一人クローゼットを開け、
服をとろうとするも、またしても手が届きません。
歯を磨こうと、洗面台にいくも、歯ブラシに手が届きません。
すると、玄関にピンポーンと誰かがやってきたようです。
誰だろう?お客さんかな?
パパとママがドアを開けると、ゆうびんやさんが荷物を届けに来てくれたようです。
荷物はおじいちゃんから、誕生日のサムくんへ、小さな椅子のプレゼントです。
サムくんは椅子を抱えると、自分の部屋に戻り、椅子の上に登り、
部屋の灯をつけ、クローゼットで服をとり、着替え、
洗面所に椅子を持っていて、自分で歯磨きをし、
キッチンに行って、椅子の上にのって、流しに水をため、
パパとママからもらったボートを浮かべて遊びました。
するとまた玄関でピンポーンとチャイムが鳴り、
サム君が椅子を玄関まで持っていき、椅子の上に上がりドアを開けると、
そこにはおじいちゃんがお祝いにかけつけてくれていましたというお話です。
子どものかわいらしい成長と、まだその成長が追いつかないもどかしさを、
見事に表現しています。
自分で色んな事ができるようになって、好奇心も出てきて、
大人と同じふるまいをしたくなる年ごろのサムくん。
その反面まだまだ体の成長が追い付かず、一人では出来ない事もあり、
そこに救世主の椅子が現れ、少し工夫すると、視界が変わり、
出来なかった色々が、出来るようになる微笑ましいお話です。
子どもと、子育てするママのどちらの視点も組んだ絵本だと思います。
子どもの挑戦したい、一人でやってみたいという気持ちを汲み、応援したくなる
一冊です(*^^)v
《著者紹介》
作:バット=ハッチンス
イギリスのヨークシャ生まれ。リーズ美術専門学校卒業。処女作の絵本『ロージーのおさんぽ』より『ティッチ』『おやすみみみずく』と、一作毎に新境地を開き、『風のいたずら』(The Wind Blew)で、ケート=グリーナウェイ賞受賞。
※絵本より引用