★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

梨の子ペリーナ

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イタリアの昔話で、読んで感銘を受けた酒井駒子さんが絵を載せた本作。

 

酒井駒子さんのノスタルジックで、ちょっぴりほの暗いトーンの絵が好きで、

 

どんな作品なのか気になり手をとりました。

 

王様に納める梨が不作で、数が少なく、それをごまかすために、お父さんに梨のかごに

 

入れられた少女は、宮殿に入りこみ、しばらく隠れていましたが、

 

とうとう召使いに見つかり、宮殿で召使いとして働くことになりました。

 

ペリーナは心優しく、大変に賢い少女だったので、すぐに仕事も覚え、

 

誰からも好かれ、同じ歳の王子ともすぐに仲良くなりました。

 

そんなペリーナをよく思わない召使いたちに、

 

ありもしない噂を流されてしまいます。

 

『ペリーナは魔女の宝物をとってこられる』という噂が独り歩きし、

 

とうとう王様の耳に入り、ペリーナは、王様から、

 

魔女から宝物をとってくるまで、戻ってくるではないと追い出されてしまいます。

 

ペリーナーはしかたなく、途方に暮れながら、あてもなく歩き出します。

 

以前、父と別れた梨の木までやってくると、木に登り、木の上で眠り始めました。

 

朝目覚めると、木の下に一人のおばあさんが立っていました。

 

ペリーナはおばあさんに、話しました。

 

するとおばあさんは、3つの食料と、まっすぐひたすら歩いていきなさいと

 

助言してくれました。

 

そして不思議なおまじないも教えてもらいました。

 

ペリーナは言われたとおり、まっすぐ歩いていきました。

 

やがて釜戸のある場所で、自分の髪をむしって、かまどをそうじする3人の女性に出会い、

 

ペリーナはおばあさんからもらったトウモロコシの穂を渡しました。

 

次に待ち構えていたのは3頭の番犬が吠えて、人が入ろうとすると襲いかかります。

 

ペリーナは持っていたパンを全て犬たちにあげました。

 

次に待ち受けていたのは、血のように真っ赤で恐ろしい川でした。

 

ペリーナが教えてもらったおまじないを思い出しました。

 

”きれいな きれいな 川のお水さん

 

わたしが これほど いそいでなければ

 

おわんに たっぷり のみたいくらいよ”

 

おまじないを口にしたとたん、水がすーっとひいて、道が現れました。

 

ペリーナは川を渡ることができました。

 

すると向こう岸に美しく立派な城がそびえていました。

 

門の扉を開けようとすると、すぐに閉じてしまいます。

 

ペリーナはおばあさんからもらった油を使って、すべりを良くしやりました。

 

すると門はゆっくりとひらきました。

 

城の中に入り、宝箱を見つけ、持って帰ろうとしました。

 

するとその宝箱がしゃべりだしたのです。

 

『とびらよ、この子をはさんでおしまい』

 

『川よ、この子をおぼれさせておしまい』

 

『番犬よ、この子を食べておしまい』

 

しかしみんな、宝箱の言うことは聞かず、心優しい女の子を守り抜きます。

 

ついに、少女は宮殿へたどり着きました。

 

そして宝箱を開けてみると、めんどりと金のひよこが飛び出してきました。

 

ペリーナの帰りを待ち構えていた王子様は、

 

『ほうびになにが欲しいかと、王様に聞かれたら、

 

地下室の大きな炭ばこがほしいと返事するんだよ。』と言いました。

 

ペリーナは王様に宝箱を差し出しました。

 

王様は満足し、『欲しいものがあったら言ってみよ』と言いました。

 

ペリーナは『地下室の大きな炭箱をください』とお願いしました。

 

こうして炭箱をもらったペリーナは蓋を開けてみると、

 

そこには隠れていた王子様が、飛び出しました。

 

それを見た王様は、二人の結婚を約束しましたというお話です。

 

色んな困難や、不運に見舞われながら、ペリーナはその人生を、

 

すべて陽に変えてしまうような、真っすぐで、清らかに、強く、優しい心で、

 

途中に出会う者たちの、心の傷みさえ、浄化し、癒していく。

 

とても美しく、勇敢で、希望に満ちたお話です(^^)/

 

《著者紹介》

再話:イタロ カルヴィーノ

1923年、キューバに生まれ。現代イタリアを代表する作家。著者に『まっぷたつの子爵』『イタリア民話集』(岩波書店)『木のぼり男爵』『不在の騎士』(白水社)、

子ども向けの作品に『マルコヴァルドさんの四季』『みどりの小鳥ーイタリア民話選』

岩崎書店)など。1985年没。

 

絵:酒井駒子

1966年、兵庫県生まれ。絵本作家、画家。絵本に『よるくま』(偕成社)『ロンパーちゃんとふうせん』(白泉社)、エッセイに『森のノート』(筑摩書房)など。『金曜日の砂糖ちゃん』(偕成社)でブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)金碑、『くまとやまねこ』(湯本香樹実 ぶん 河出書房新社)で講談社出版文化賞等、国内外で受賞多数。

 

※絵本より引用

【作:イタロ・カルヴィーノ 絵:酒井駒子 訳:関口英子 出版社:BL出版

 

 

 


梨の子ペリーナ: イタリアのむかしばなし (世界のむかしばなし絵本シリーズ)