キラキラと虹色に光る特別なうろこを持つ、にじうお。
他の魚にはない、このキラキラとしたうろこが自慢だった。
みんなが一緒にあそうぼうと誘ってくれても、
にじうおは返事もせず、得意気にみんなの前を素通り。
ある日、小さな青い魚が、にじうおにキラキラしたうろこを一枚ちょうだいと言いました。
にじうおはこのキラキラのうろこをあげるもんかと思い、断りました。
にじうおはいつの間にか、広い海で、ひとりぼっちになってしまいました。
誰も相手にしてくれません。
ある日にじうおは、自分の悩みを、ヒトデに打ち明けました。
こんなにも美しいうろこを持っているのに、誰も自分を好きになってくれないと。
ヒトデはたこのばあさんなら、解決してくれるかもと言いました。
そしてにじうおたこのばあさんのところへ行きました。
たこのばあさんは、みんなにその虹色に光る鱗を一枚ずつ、あげなさいと言いました。
そうすれば、お前は一番綺麗な魚ではなくなるが、何が幸せかわかるからと。
にじうおはさっそく、キラキラした虹色の鱗を、みんなに1枚ずつ渡すことにした。
みんなはとても喜んでくれ、にじうおも鱗を渡すたびに、幸せな気持ちになった。
周りの海中が、キラキラと光り、楽しくなった。
そしてたくさんの友達を手に入れましたというお話です。
大人の私が読むと少しモヤモヤとする部分が正直あります。
自分の得意なことを自慢をするのはよくないけれど、みんなに大切なものを
あげないと本当の友達になれないのかな?というモヤモヤ。
そこを、子供にはき違えてもらいたくない点。
うろこがキラキラしていたから、よけいにモノのように感じてしまったのかも。
ただ、どんな喜びを得ても、得意なものがあっても、周りにそれを話せる友達、
分かち合える友達がいて初めて、その喜びや幸せが2倍、3倍にもなるということを、
子どもには伝えました。
そして、にじうおは自分の体にうろこがあるうちは、
そのキラキラと海の中できらめく、美しい世界を、自分の視界におさめることができなかったけど、
みんなに分けたことによって、そのうろこの美しさを、美しい世界を、
見えるカタチで手に入れたことにもなる。(新たなしあわせをカタチに)
子どもには目に見えるもの、見えないもの限らず、与えられる人間に育って欲しいなと
いう願いから読み聞かせしました(*^^)v
《著者紹介》
作:マーカス・フィスター
1960年、スイスのベルンに生まれる。高校卒業後、ベルンの美術工芸学校の基礎科に入学。その後、グラフィック・デザイナーとして、1981年から1983年までチューリッヒで働く。カナダ・アメリカ・メキシコを旅行ののち、帰国後はフリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活躍している。おもな作品に〈ペンギンピート〉シリーズ、〈うさぎのホッパー〉シリーズ、〈にじいろのさかな〉シリーズなどがある。1993年、ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞した『にじいろのさかな』を
はじめとする〈にじいろのさかな〉シリーズは、世界で3000万人の読者に迎えられた大ベストセラーとなっている。
※絵本より引用
【作・絵:マーカス・フィスター 訳:谷川俊太郎 出版社:講談社】