★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

怪物園  *junaida

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真っ黒な表紙に、色鮮やかな怪物たちが目を引きます。

 

表紙を開くと立派なお城が出てきた思いきや、お城にはいくつもの目があり、

 

獣のようなしっぽ、6本の足があり、ゆっくりとお城を歩き出します。

 

ある静かな夜、怪物園はうっかり玄関口をあけたまま、眠りにつきました。

 

その間に、お城にいた怪物たちは外の世界へ。

 

街は怪物の行進であふれかえり、人々は恐ろしくて、家の中に逃げ込みました。

 

怪物たちはその後も何日も行進を続け、外に出られなくなった子供たちは、

 

家の中で退屈していました。

 

そこで、子どもたちは段ボール箱をバスに見立てて、空想の旅に出かけることに。

 

ページをめくると、さっきまでの真っ暗闇の絵から、

 

メルヘンの世界のような明るく、美しい絵に変わります。

 

虹の橋を何本もバスで通り抜け、お城や、色とりどりの花畑が広がる世界です。

 

ふと、街のとおりに目を向けると、まだ怪物がたちが練り歩いています。

 

怪物はヒヨコのような形のものや、イカのように足が何本もあるもの、

 

タツムリに似た怪物など、どこかで見かけたことがあるような形をしていて、

 

怖いのに、一方で親近感も覚えます。

 

子どもたちは空想の旅を続けました。

 

植木鉢のひとつ、ひとつに、小さなカラフルな家がたちならび、

 

一番大きな鉢植えには大きな大木が。

 

子ども達は岬の先端までくると、赤い大きな風船を膨らまし、バスは、

 

風船気球に変身です。

 

大きな大木の上まで行ってみよう。

 

ふと、街を見下ろすと、まだ怪物たちが行進を続けていました。

 

どこからか、お母さんの声がします。おーふーろー

 

子どもたちはお風呂に入りながら、空想の世界を旅します。

 

子どもたちを乗せた風船気球は、ついに大木のてっぺんまでやってきました。

 

双子の灯台を抜けると、木の葉の海です。

 

船があったらいいなぁ~!子どもたちのバスタブに帆を張り、

 

木の葉の大海原へくりだします。

 

海の下から何か声が聞こえるよ。

 

みんなで潜ってみよう。

 

子どもたちは船の帆をたたみ、頑丈な屋根に変え、バスタブの船は潜水艦に。

 

真っ暗闇の海をライトで照らしながら進んでいくと、海の底に怪物たちの姿が。

 

怖いけど、何か困っているみたい。助けてあげよう。

 

子ども達は怪物たちを船に乗せて、怪物園に戻してやりました。

 

そしてその日ベッドで眠りにつきました。

 

朝になると、街の通りから怪物たちはいなくなっていました。

 

空想の中の、空想のお話のような、不思議な絵本です。

 

真っ暗闇のページと、子どもたちの空想する明るい絵のページの対比が、

 

美しく、ドキドキしたり、ホッとしたり。怖くなったり、

 

温かい気持ちになったり。

 

コロナ禍でなかなか思うように外出ができない私たちの生活、子どもたちの毎日と、

 

すこしリンクするような絵本です!

 

空想の世界はどこまでも自由に広がっていて、とどまることを知りません。

 

どの怪物たちもどこかで見かけたことがあるような風貌で、

 

気味が悪いのに、かわいくて、憎めない存在です。

 

【作:junaida  出版社:福音館書店

 

 


怪物園 (福音館の単行本)