★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

くまのコールテンくん *ドン=フリーマン

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くまのコールテンくん

子どもの時に、お気に入りだった、自分の分身のような、兄弟のような存在の

 

くまのぬいぐるみがいたことを思い出す。

 

大好きで、背中におぶったり、手を握ってずるずると引きずりながら歩いた覚えがある。

 

ピンク色のくまだったのに、可愛がりすぎて、ピンクグレー色になって、

 

たまに母に洗濯してもらって、外に干されていたくまの後ろ姿が懐かしい。

 

”くまのコールテンくんは、おおきなデパートのおもちゃうりばにいました。

 

おもちゃうりばでは、どうぶつも、にんぎょうも、 みな はやく だれかがきて、

 

じぶんをうちにつれてってくれないかなぁと おもっていました。

 

おみせはいつも かいものする おきゃくで いっぱいでした。

 

でも、みどりのズボンをはいた コールテンくんを かっていこうとする

 

ひとはいませんでした。

 

ところが、あるあさ ひとりのおんなのこが コールテンくんのまえで、

 

たちどまりました。『ねぇママ!あたしずっとまえから こんなくまがほしかったの。』

 

といいました。おかあさんは、くびをふって、

 

『きょうはだめよ。それにしんぴんじゃないみたい。つりひものボタンが、ひとつ とれているわ。』

 

といいました。

 

コールテンくんは、『ぼくボタンがとれているのしらなかった。こんやさがしにいこう。』といいました。

 

そのばんおそく、おきゃくがみんな かえって おみせのとがしまってしまうと、

 

コールテンくんはそうっと たなからおりて、どこかにボタンがおちていないか、

 

ゆかのうえを あちこち しらべはじめました。 するときゅうに、あしもとのゆかが

 

うごきだしました。コールテンくんは エスカレーターのうえに 

 

あしをのせてしまったのです。

 

エスカレーターをのぼって、うえのかいにつくと、 テーブルやいす、でんきスタンド、

 

ソファー、それにいくつもベッドがずらっと ならんでいました。

 

『わぁ~おうさまのごてんだ!行ってみたかったんだ。』といきをはずませていいました。

 

コールテンくんはベッドによじのぼりました。するとそこに、

 

まるくて、ちいさなものが、おちていました。『なあんだ、ぼくの ボタン こんなところに、あった!』

 

コールテンくんは、ボタンをつまみあげようとしました。

 

ところが、ボタンはマットレスにしっかりくっついていて、はなれませんでした。

 

コールテンくんは、りょうてでボタンをつかんで、ちからいっぱいひっぱりました。

 

するとポーンとボタンはとび、コールテンくんは、はずみをくらって ひっくりかえり、

 

ゴツンとでんきスタンドにぶつかって、ガチャーンとおとを たてて ゆかにたおれました。

 

コールテンくんは知りませんでしたが、お店のなかには、ほかにも起きているひとが

 

いました。それはけいびいんのおじさん。

 

けいびいんさんは、コールテンくんを見つけておどろき、エスカレーターを降り、

 

コールテンくんをおもちゃ売り場にもどしました。

 

つぎのあさ、コールテンくんが めをさましたばかりのところへ、きのうきた、

 

おんなのこが にっこり わらいかけました。

 

『あたし、リサっていうの。あたし、あなたを つれにきたのよ。 ゆうべちょきんばこをあけて、しらべたら、ちょうど あなたがかえるだけあったの。おかあさんもいいって。』

 

そしておんなのこはむねにだいて、コールテンくんを家につれてかえりました。

 

リサのお部屋にはいったコールテンくんにぴったりの大きさのベッドもありました。

 

『あたし、あなたのこと、 このままでも すきだけど、でも ひもが ずりおちてくるのは きもちわるいでしょ。』とリサはいいました。

 

『ともだちって きっと きみのような ひとのことだね。』とコールテンくんはいいました。

 

『ぼく、ずっとともだちがほしいと おもっていたんだ。』

 

『あたしもよ!』リサはそういって、コールテンくんをぎゅっとだきしめました”

 

 

くまのコールテンくんが、夜にデパートを歩き出したり、おしゃべりできたり、

 

夢がいっぱいの絵本。そして、ボタンがとれていて、新品にみえないくまのぬいぐるみを、

 

リサはこのままでも大好きなんだけどといいながら、ボタンをつけてくれる。

 

ありのままのコールテンくんを愛してくれる、大切にしてくれる親友を見つける。

 

おもちゃを大切に思う優しい気持ち、そして一緒にお話をしたり、想像力広がるお話でした。

 

《著者紹介》

作:ドン=フリーマン

1908年、アメリカのカリフォルニア州生まれ。1978年2月没。高校卒業後、ニューヨークに出て、絵の勉強をする。劇場案内の絵やポスターを描くうちに、絵本づくりの魅力にとりつかれ、多くの絵本を残した。代表作に『くまのビーディーくん』『にんぎょうのくに』がある。

 ※絵本より引用

【作:ドン・フリーマン 訳:松岡享子 出版社:偕成社

 


くまのコールテンくん (フリーマンの絵本)