★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

ブルーカンガルーがやったのよ!

f:id:kiko_book:20210413091211j:plain

ブルーカンガルーがやったのよ!

子どもの絵本ではちょっと珍しいタイプかもしれません。

 

子ども向けの絵本は、正しい世界が描かれて、キレイな世界で、

 

いろいろな心を教えてくれる絵本が多いと思います。

 

でも現実はそう簡単にいかないものですよね。大人の世界もそうであるように、

 

子どもの世界も難しい。みんなが正しく生きられたら、

 

世界から、いじめなどもとっくになくなっているでしょう。

 

この絵本はモヤモヤとした気持ちが親としては残る、でもすごくありふれた現実を

 

描いている絵本。嘘がない。これがザ・現実。

 

そして子どもには共感できる部分が多いのではないかと思います。

 

結末まで読んだとき、こういう時どうしたらいいだろう?

 

って親子で一緒に考えられる絵本だと思います。

 

きれいな世界、正しい世界を子どもに見せるのも大事だけれど、

 

奇麗な世界ばかりではなく、グリム童話のような、現実にないとは言い切れない、

 

世界も少しずつ子どもに見せていくのも大切なことではないかと思いました。

 

要は、現実をどう受け止め、考え、行動するか、どう生きるかを、

 

考えるきっかけを与えてくれる絵本だと思います。

 

 

リリーとブルーカンガルーは大の仲よし。

 

リリーの大のお気に入りです。ときどきリリーはいたずらをすると、こういいます。

 

『ブルーカンガルーがやったのよ!』ブルーカンガルーは、じっとリリーを見つめます。

 

でも、なにもいいません。

 

リリーはブルーカンガルーをつれて、にわにでました。

 

おとうとがすなばで、あそんでいます。

 

とってもたのしそう。

 

『あたしもあそびたい。かしてよ!』

 

『やだ!ぼくの!』

 

リリーは弟に頭にバケツをかぶせて、いたずらをしました。

 

おとうとが えんえん なきだして、、、、

 

『リリー!こんなんことしたのは だれ?』とママ。

『ブルーカンガルーがやったのよ!』

 

ブルーカンガルーは、だまってリリーを見つめました。

 

リリーは、ブルーカンガルーを つれて、じぶんのへやに いきました。

 

そして、たんすの なかみを ぜんぶ ひっぱりだして、、、、

 

そとに、窓からほうりなげました。

 

ブルーカンガルーは、もう みていられません。

 

『リリー!』と外にいたママがさけびました。

 

『だれが、やったの?』ママが ききました。

 

『ブルーカンガルー よ!』

 

ブルーカンガルーは、だまって じっとリリーを見つめました。

 

『ああ そう。ブルーカンガルーが そんなに わるいこなら、ひとりでしたに

 

いなくちゃならないわ』と、ママ。

 

ママは、ブルーカンガルーをたかい ほんだなの うえに おきました。

 

その夜、リリーはベッドにいかないといいました。

 

『ブルーカンガルーなしで ねたこと、ないんだから。』

 

でも、ママはゆるしてくれません。

 

『ごめんなさい、ブルーカンガルー。。。。』リリーはしゃくりあげました。

 

そして、なきながら ねいってしまいました。

 

かわいそうな ブルーカンガルー!

 

くらやみで たったひとり、

 

めを みはって かんがえていました。

 

そして、いいことを おもいつきました・・・・

 

かみと いろえんぴつを みつけると、

 

なにか かきはじめました。

 

かきあげて にかいへ ゆき、ママのへやの

 

ドアのしたから、その かみを さしいれました。

 

ママへごめんなさいとと手紙を書きました。

 

そして、ほんだなの うえに とびあがり、

 

あさに なるのを まちました。

 

『うれしかったわ、リリー。だれが かいたの?』”

 

 

自分のしたいたずらを、大好きなぬいぐるみのせいにしてしまったリリー。

 

ブルーカンガルーは何も言わず、最後まで健気にリリーを助け続ける。

 

誰かのせいにしちゃだめだよ!と子どもに伝えつつも、私も幼少期に、

 

経験がないわけではなく、苦い古い記憶が思い出され、

 

モヤモヤしながら、最後いいことをしたブルーカンガルーのことを、

 

自分の手柄にしなかったことが、この物語りの唯一の救いであり、光り。

 

きっとブルーカンガルーはもう一人のリリーなのかもしれません。

 

素直で優しい謝れるリリーと、いたずらしたり、素直になれず、人のせいにしてしまうリリー。

 

どちらも、リリーなのだと思います。人間の心は白黒つけられるものではないと思うので。

 

ブルーカンガルーにお礼を言わないとね~と子どもと話しながら読み聞かせをしました。

 

子ども目線では、そんな親のモヤモヤとは別に、ただただ楽しいお話のようです。

 

『この絵本おもしろい!』と何度も繰り返し、読み返していました。

 

《著者紹介》

作:エマ・チチェスター・クラーク

イギリスで最も人気のある絵本作家の一人。

チェルシー美術学校と王立美術大学を学び、雑誌のイラストや児童書の挿絵などでも活躍。マザーグース賞をはじめ数々の賞を受賞している。主な作品に、

『しあわせの3つのおしえ』『ミルクのおかゆの かぞえうた』『キスなんて ごめんだよ!』(いずれも評論社)など。また、リリーとブルーカンガルーの絵本『だいすきよ、ブルーカンガルー!』『どこへいったの、ブルーカンガルー?』(ともに評論社)は、たくさんのこどもたちから愛され、高い評価を得ている。

※絵本より引用

【作・絵:エマ・チチェスター・クラーク 訳:まつかわまゆみ 出版社:評論社】

 


ブルーカンガルーがやったのよ! (児童図書館・絵本の部屋)