とこやのとこちゃんは、今日は出張の日。
お店を閉めて、出張の支度をします。
バッグに、はさみにぶらし、せっけん たおる かーらー りぼん かみどめ
しゃんぷーと 道具をつめこみます。
用意ができたら、さぁ出発!
森を抜けると、目的地のおひさまえんです。
ところがツタがびっしりで、進むことができません。
とこちゃんこのツタをどうにかして~と木が助けを求めて来ました。
とこちゃんはバッグからハサミを取り出し、
絡まったツタをチョキチョキと切りました。
森の中は草や葉っぱが伸び放題です。
つたまゆのついた木、つたひげを付けた木、長い前髪のようなツタを、
それぞれはさみで切ってあげました。
森の木も、とこちゃんの床屋で、きれいさっぱりです。
森の奥の いちばん 背のたかい木のところまでくると、
木は頭のてっぺんがムズムズするんだと困った顔で言います。
とこちゃんは木のてっぺんまでのぼると、
木の枝に赤い風船がひっかかっているのを見つけました。
そして赤い風船をそっととると、下におひさまえんのみんなが見えました。
”『とこちゃーん』”
とこちゃんはかばんから りぼんや かみどめを とりだすと つたを結び始めました。
そして長いロープにして、ぴゅーん!とおひさまえんまで、
降りてました。
”『しゅうちょうごくろうさま』”とおひさまえんのおばあちゃんが言いました。
出張先までの道のりで、木やつたの散髪をしながら、森の中を進んでいく
とこちゃん。森の中の木々たちも、すっかりキレイにおしゃれさんに変身。
最後はつたを長く、リボンをつけてかわいいロープにして、
おひさまえんに到着するとこちゃん。
発想が豊かで、自由で、子どもが楽しく読める絵本です。
また美容院デビューするお子さんや、美容院が苦手なお子さんにも、
とこちゃんを読んで、ハサミで髪の毛をちょきちょき切るお仕事に
興味を持ったり、美容院を好きになってもらえるような、
きっかけの絵本になるのではと思います。
《著者紹介》
作:かわかみたかこ
1967年東京生まれ。
作・絵ともに担当した絵本に『わたしのおへやりょこう』(ブルーベル館)『のびのびのーん』(アリス館)『おはようミントくん』『たまちゃんのすてきなかさ』(偕成社)『ひかりのつぶちゃん』(ビリケン出版)、絵を担当した作品に『きいちゃんシリーズ』(ポプラ社・大島妙子作)『でんでんむしのハガキ』(理論社・まどみちお詩)
『てんぐちゃんシリーズ』(理論社・森山京作)など。読みものに『たまごの森のものがたり』(ブルーベル館)がある。
※絵本より引用
【作・絵:かわかみたかこ 出版社:フレーベル館】