★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

はじめてのおつかい

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ある日ママに、ひとりで牛乳を買ってきてとおつかいを頼まれた女の子。

 

いつも何度もママと一緒に歩いた道、買い物にいったお店なのに、

 

一人だとどうしてこんなに心細いのだろう?

 

すれ違う自転車や、車の音がいつもより大きく聞こえて、

 

何度も通った場所なのに、ちゃんとたどり着けるのか心配になる。

 

ママから預かったお金を握りしめた手は、汗ばんで、お金も自分の手のひらの温度で、

 

しっかり温まっている。

 

いつもは道端に咲いているお花も目に入らず、

 

いつもの見慣れているはずの景色が、まったく知らない世界みたいに見える。

 

もうすぐお店だと、走り出した途端に、こけて、

 

足も手もジンジン痛いのに、手から離れて転がったお金が心配で、痛みを忘れる。

 

お店について、勇気を振り絞って、『すみません。』って発した声が、

 

思ったよりも小さくて、頼りなく誰にも気づいてもらえない心細さ。

 

もう一度声を出してみたけど、今度は近くを通った車の音にかき消される。

 

胸のドキドキする音が聞こえてしまいそうなぐらい、大きく激しくなる、

 

瞬きをするたびに、シュパシュパと音がする気がする。

 

深呼吸をして何度も『すみません』と言うと、

 

ようやくお店の人が気づいてくれた。ママに頼まれた牛乳をくださいと言うと、

 

牛乳を出してくれて、お金もちゃんとお店の人に渡して、

 

嬉しくて、早くママの待つ家に帰らなくては、とおつりも貰わず走り出す。

 

お店の人も追いかけて、おつりを渡してくれる。

 

ママと赤ちゃんが坂の下で待っていてくれ、一緒におうちまで帰りました。

 

はじめてのおつかいのドキドキとしながら、ありったけの勇気を振り絞って、

 

牛乳を一つ買うまでの、女の子の心情、成長を描いています。

 

一緒にハラハラドキドキを共感しながら、勇気をもらえる絵本。

 

はじめてのおつかいに限らず、はじめて挑戦することを応援してくれる絵本です。

 

《著者紹介》

文:筒井頼子(つついよりこ)

1945年、東京に生まれる。埼玉県立浦和西高等学校卒業。

童話に『ひさしの村』『いく子の町』(現在品切れ)、絵本に本書のほか、『あさえとちいさいいもうと』『いもうとのにゅういん』『とん ことり』『ながれぼしをひろいに』『おでかけのまえに』『おいていかないで』(以上福音館書店)などがある。

宮城県在住。

 

絵:林明子(はやしあきこ)

1945年、東京に生まれる。横浜国立大学教育学部美術科卒業。

『かみひこうき』が初めての絵本。筒井頼子さんとの絵本のほかに、『ぼくのばん わたしのばん』『きょうはなんのひ?』『おふろだいすき』『はっぱのおうち』『10までかぞえられるこやぎ』、自作の絵本に『まほうえのぐ』『こんとあき』『くつくつあるけのほん(全4冊)』『クリスマスの三つのおくりもの(全3冊)』『でてこい でてこい』、幼年童話に『はじめてのキャンプ』がある。挿絵に『魔女の宅急便』『なないろ山のひみつ』(以上福音館書店)がある。長野県在住。

 

※絵本より引用

【作:筒井頼子 絵:林明子 出版社:福音館書店

 


はじめてのおつかい(こどものとも傑作集)