離れた場所でそれぞれ暮らしている、みちとなつ。
まだ、二人はお互いの存在を知らない。
大きな街の マンションにお母さんと二人で住んでいるみち。
みちの通う小学校は1クラス30人で、全校生徒合わせて1000人のマンモス校。
みちは図書館で本を読んで過ごすのが好きな女の子。
うみべのちいさな町に、両親、兄弟、祖父母と住んでいるなつ。
なつの通う小学校は1クラス5人で、全生徒合わせて27人の小さな学校。
友達と走り回るのが好きななつ。
全く育った環境、家族構成、経験してきたものが異なる2人。
みちは、学校の帰り道にハート型の石を見つけ、集めるのが好きです。
いろんな場所で拾ってきたハートの石がみちの宝物です。
なつは、学校の帰り道、浜で丸くなったガラスのかけら見つけ、集めるのが好き。
なつも丸くなったガラスのかけらを、きれいに並べて眺めるの大好きです。
夏休みがやってきて、
みちは祖父母の家で、夏休みを過ごすことになりました。
なつは毎日家の近くの浜で、友達と遊んでいます。
接点のなかった2人が、ひとつの浜辺で出会います。
みちがうみで、宝物のハートの石を並べて、眺めていると、
犬の散歩にきていたなつが、話しかけます。
その日2人は友達になりましたというお話。
絵本は2人の暮らしを交互に平行展開しながら、違う場所で、暮らす2人の共通点を、
読み手は、いつの間にか2人の共通点を、
そして出会う接点を探しながら読み進めています。
2人には、似た宝物、大切なものがありました。
なにもかも違う2人だけれど、一つだけ大切にしているものが似ていたふたり。
ついに2人は出会いました。
人生には時々こんな素敵な出会いが待っている。
その一瞬が訪れるまでに、自分の大切にしているものを、そのまま持ち続けて欲しい。
あなたを待っている誰かに出会うために。
わたしが待っている誰かと出会うために。
《著者紹介》
作:杉田 比呂美(すぎたひろみ)
東京都生まれ。イラストレーター。本の装画や挿絵を数多く手がける。
『じっけん きみの探知機』がある。
そのほかの絵本に『てのひらおんどけい』(福音館書店)、
『12にんのいちにち』(あすなろ書房)、『ゆうだちのまち』(アリス館)、
『ひとりぼっちのくうくう』(小峰書店)など。
【作:杉田比呂美 出版社:福音館書店】