ハナは、お父さんと二人暮らし。
お父さんは朝早くから夜遅くまで仕事をしていて、とても忙しい。
休みの日も、疲れ切って、寝ていて、
お父さんともっと一緒にいたいハナはさみしい気持ちを抱えている。
そんなハナのさみしさをうめてくれているのが、大好きなゴリラ。
ゴリラの本や図鑑をいっぱい読んで、
ゴリラが登場する、テレビ番組もいっぱいみた。
でも、ハナはいちどもゴリラに会ったことがない。
ハナの誕生日の前の晩、胸がドキドキして、ワクワクしながらベッドにはいった。
お父さんに、誕生日のプレゼントはゴリラがいいと伝えていて、
明日が、楽しみなのだ。
眠りにつき、真夜中に目を覚ましたハナは、ベッドの下に小さな箱を見つける。
そっと中をあけてみると、そこには小さなゴリラのぬいぐるみがひとつ。
がっかりしたハナは、ゴリラのぬいぐるみを床に放り投げて、また眠りについた。
すると、大きな本物のゴリラが、ハナの目の前に現れ、
ゴリラは言った。
『これから どうぶつえんにいってみよう、なんてのはどうかなと思って』
ハナはゴリラと一緒にデートすることに。
あたりは真っ暗。コートをきて、ゴリラは優しくハナの身体を抱きかかえると、
木から木へとすいすいと、動物園へ向かった。
ゴリラと一緒に、動物園のゴリラの檻の前に立った。
次に、映画館へ行って、
お腹がすいて、レストランで食事をしました。
そしてお庭でお休みのダンスを踊って、
『また、あしたね。』と別れた。
次の日を目を覚ますと、昨日の夜のことをお父さんに話そうと、
いそいで階段を降りた。すると・・・
お父さんは『たんじょうび おめでとう』
『これから動物園にいくなんてどうかな?』と。
ハナはとても幸せでしたというお話です。
絵本のページや表紙にも隠し絵が隠れていて、木がゴリラの姿に見えたり、
ゴリラとデートしたあと、次の日お父さんが動物園にさそってくれたときに、
お父さんのズボンのポケットにバナナがささっていたり、
大好きなゴリラの軌跡がたくさん絵本に散りばめられている。
ゴリラと一緒に、動物園のゴリラを眺めにいくというのも、
かなりシュールで、ハナにとっては、大好きな人(ゴリラ)と、
大好きなゴリラに会いに行くという、最高のサプライズ誕生日になっている。
そして次の朝ハナは、大好きな人(お父さん)と大好きな動物(ゴリラ)に会いに行く
願いを果たしている。
表紙からは想像できないほど、ユーモアだけでなく、心に残る印象的な一冊。
1984年ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品。
《著者紹介》
作:アントニー・ブラウン
1946年、イギリスのシェフィールドに生まれる。
リーズの美術学校で、グラフィックデザインを学んだ後、マンチェスターで医学関係の説明図を専門に描いていた。処女作”THROUGH THE MAGIC MIRROR(「魔法の鏡をとおりぬけて」)より絵本作家として活躍。翻訳された作品に「こうえんのさんぽ」「どうだいかすだろ!」がある。この「すきですゴリラ」で、1984年ケイト・グリーナウェイ賞を受賞。最近の作品に”WILLY THE WIMP (「よわむしウィリー」)などがある。
※絵本より引用
【作・絵:アンソニー・ブラウン 訳:山下明生 出版:あかね書房】
※新装版になります。