絵本を読み聞かせする時には、声に出して読む。
この絵本は言ってしまえば、読み聞かせのための絵本といっても過言ではない。
言葉を声に出すから、作品が面白く、生きてくる。
そして声色や、タイミングを変えるだけでもっと楽しい時間になります。
もりをとおって、ずうっといった やまのなかに
見た感じは、ごくごく普通に見える橋が一本川にかっかっている。
人間はこの橋を怖がって、渡らない。
なぜかというと・・・
この橋を渡ると、
身体がびょーーーーんと伸びてしまうから。
例えば、”イヌはイ ヌ と いうかんじに なっちゃうんだよ。
はしを わたってしまうと、からだはうスーッと、もとに もどって しまうんだ。 ”
”タヌキが やってきた。
そうして タ ヌ キに なった。
おなかを たたいたら 『ペンペン』とへんな おとがした。”
”ゾウが やってきた。
そうして ゾ ウ になった。
ほんとうは、はしが つぶれて しまうんだけど、
ほそく なったので、へいき なのかなぁ”
”よるになると、ながれぼしが おちてきた。
そうして ホ シ に なった。
スルスルすべって、また そらへ あがっていった。”
”キツネが やってきた。
そうして キ ツ ネに なった。
『なんだか かぜを ひきそうだ』
コンコンと、いっているよ。”
この、へんてこで、不思議な橋はいったい誰が作ったのでしょう。
目で追って読んでいる分には、単純なストーリーに感じますが、
これを声に出して、読み聞かせをした途端に、面白さが爆発します。
これこそ、読み聞かせの醍醐味だと、作者のアイデアにハッさせられました。
《著者紹介》
作:長 新太(ちょうしんた)
1927年、東京に生まれる。1958年より本を中心に、童話、エッセー、漫画などの
幅広い分野で活躍した。主な作品に『おしゃべりなたまごやき』(福音館書店刊・文芸春秋漫画賞受賞)『はるですよふくろうおばさん』(講談社刊・講談社出版文化賞絵本賞受賞)『キャベツくん』(文研出版刊・絵本にっぽん賞大賞受賞)『つきよのかいじゅう』『わたしのうみべ』(佼成出版社刊)など多数ある。業績に対し、巌谷小波文芸賞、紫綬褒章を受賞。2005年没。
【作・絵:長 新太 出版社:佼成出版社】