長新太さんの絵本は、いつも着眼点や発想が奇想天外でとにかくユニーク。
大人も楽しいけど、子どもが大人以上に喜ぶ絵本です。
『つきよのかいじゅう』も期待を裏切りません。
絶対面白いと分かって読んでいても、笑ってしまいました(*^-^*)
ある湖のほとりにテントを立てて10年もの間、怪獣を見たくてカメラをかまえ、
待ち続けている男がいます。
ある夜、ついに怪獣の頭がひょっこり水面に現れた。
男は夢中でカメラのシャッターを切る。怪獣の頭がぐんぐんと
空に向かって伸びていく。これは相当に大きいはず。
もう月にあと少しで届きそうだ。
湖の下はこんな感じだろうか?と想像してみる。
恐竜のようかもしれないし、もしかしたら体は魚のようかもしれない。
怪獣がぐーんと大きくなり、男は胸がドキドキ、高鳴る期待。
10年間ずっとこの時が来るのをずっとここで待っていたのだから。
あれれ?怪獣の顔が二つになった。顔と顔を寄せ合い、
これは大男のシンクロナイズド・スイミングをしているところ!?
しばらくボコボコと水の音を立てながら、男の舞は続き、やがて湖の中に消えた。
面白いのが今からやって来ると期待していて読んでましたが、
これは想像以上。思わず爆笑してしまいました。
湖でシンクロする男の足が太く、相当な大男。
これはネッシーのような怪獣に出会うぐらいに、貴重なことなのかもしれない。
シンクロする男の顔を見たいような気がするも、見えないからまたいいのだ。
水の中は何も見えないから、こちらもあらゆることを想像して、膨らませて
楽しめる絵本です。こんなのがいたら面白いな~と子どもと話しながら読みました。
とても静かで、賑やかな一冊です。
《著者紹介》
作:長新太(ちょうしんた)
1927年、東京に生まれる。漫画、絵本、イラストレーション、エッセイなどの幅広い分野で活躍。主な作品に『おしゃべりなたまごやき』(文芸春秋漫画賞受賞)『ぞうのたまごのたまごやき』(小学館絵画賞受賞・共に福音館書店)『はるですよふくろうおばさん』(講談社出版文化賞絵本賞受賞・講談社)『キャベツくん』(絵本にっぽん賞大賞受賞・文研出版)『へんてこへんてこ』(佼成出版社)など多数ある。
※絵本より引用