海と空の境界線をずっと見つめていた子ども時代。
どこからが海で、どこからが空なのか、目を凝らす。
海と空の境に行けば、手をのばせば、空に触れるんじゃないだろうかと夢を見た。
みんなが一度は子どもの頃に見た夢の続きを見に行く絵本だと思います。
フィンは海のそばで暮らしています。
フィンはおじいさんと海と空が出会う場所に、いつか旅をしようと約束していました。
でも、もうおじいさんはいません。
フィンはたった一人で廃材を集め、たった一人で船をつくり、
おじいさんとの約束の場所へ、旅に出ようと試みます。
船の中でいつの間にか深い眠りにつくと、もうそこは広い海の上。
フィンは広い海の上はこんなにもさみしいんだと感じました。
その時大きな金色の魚がやってきました。
金色の魚に海と空がであうばしょに連れていってもらうことにしました。
途中色んな島にも寄りました。
本好きな鳥が住む、何冊もの本が高く積まれた島に、巨大な貝殻の転がる島も。
海の奥へどんどんと進んでいくと、海と空の出会う場所?に着きました。
空に浮いているような、海に浮いているようなその場所は、
お城のような建物や気球、船に、クラゲ、大きなクジラに、大きな月が浮かび、
見たこともない不思議な世界が広がります。
金色の魚は月に向かって泳いでいきました。
フィンもその後を追いかけると、そこにはおじいさんが。
遠くの方からフィンを呼ぶ声が聴こえます。
フィンが目覚めると、フィンは砂浜の上で自分が作った船の中にいました。
”ふねをだすには さいこうの日でした。”
フィンにとっておじいさんはとても大きな存在だったのでしょう。
旅の最後に、一番会いたかった人と、一緒に行きたかった場所で再会できるなんて素敵です。
フィンとおじいさんが魅せる空想の世界に、私たちの憧れを乗せて、船旅が続きます。
【作:テリー・ファン&エリック・ファン 訳:増子久美 出版社:化学同人】