★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

みどりいろのバス   *ジョン・シャロン

  

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みどりいろのバスは、歳をとったバスで、1日の仕事は

 

毎日、1回だけ田舎みちを、しゅうてんまで 走っていきます。

 

もうそれ以上は働けないほど、くたびれていました。

 

ある日、バスの運転手と車掌さんが、みどりいろのバスを

 

森の中に捨ててしまい、バスはとても悲しそうでした。

 

しばらくすると、森の中に子どもが2人やってきて、

 

みどり色のバスを見つけて、これは素敵なおうちになりそうと、

 

2人はバスの窓にきれいなカーテンをつけたり、座席をベッドにつくりかえたり、

 

屋根にえんとつをつけて、ご飯をたべるテーブルを置き、

 

バスの中を色々と改造し始めました。

 

森の中での暮らし、バスの中での暮らしは なんと楽しいかったことでしょう。

 

ところが、そんななか、背の高い ステッキを持った男の人が現れて、

 

私の森にバスを止めるなんてと怒り出しました。

 

2人はバスを移動させようとするも、全くびくともしませんでした。

 

垣根からひょっこり顔を出した馬が、”「私でよければ、手伝うよ」”と

 

2人に力を貸してくれました。

 

馬がみどりいろのバスを引き、町へ降りてくると、なんと市役所で火事が起きています。

 

丁度通りすがったみどりのバスが、建物の2階に残された人を、屋根におろして救出し、

 

みどりいろのバスはたちまち、町の英雄になりました。

 

その後もみどり色のバスは、坂道をくだっていると、

 

目の前に見えてきたのは海です。

 

もうブレーキの利かないバスは海へまっしぐら、そのまま海へ飛び込んでしまいました。

 

馬は寸前のところで、逃げ、子どもたち2人はバスの屋根に避難したので、

 

無事です。

 

海から屋根だけが出ている状態は、まるで難破船みたいです。

 

時間が経つと、潮が引き、ようやく海からバスを海岸に引き上げることに成功しました。

 

おっと、海から出たみどりのバスのなかには、大量の魚でいっぱいに。

 

おじいさんがやってきて、魚をわけてくれないかね?って言われました。

 

おじいさんはその代わりに、バスも馬もわしのところで暮らしていいよと、

 

2人は長かかったみどりのバスと馬との冒険を終え、うれしくなりました。

 

おじいさんはどうやらもう働けなくなった船のおうちに1人でくらしているようです。

 

というお話です。

 

捨てられたみどりのバスが引き寄せた、人や動物、冒険の数々。

 

捨てる神がいれば、拾う神あり。

 

また似たような、働けなくなった船で暮らすおじいさんとの新しい出会いから、

 

森から海へ、バスの新しい人生が始まることになりました。

 

古くなったから捨てる。どんどん新しいものが生まれる時代で、

 

モノの寿命も短くなっている昨今。

 

古くなったものを工夫して、大切にする気持ちを教えてくれる1冊です。

 

 

《著者紹介》

作:ジョン・シャロン

15歳のとき最初の短編が、雑誌に掲載されて以来、今日まで新聞、雑誌を舞台に、

多くの作品をつくってきました。

1924年、ジャーナリストと作家の両親のもとに生まれ、戦後、戦車隊の指揮官をしている頃、ドイツの出版社ダー・シュピーゲルで作家としてスタートしました。

この「みどりいろのバス」は、彼の最初の絵本で、イギリスでは、

すでに20年以上にわたって、出版され続けている傑作です。

シャロンは、林業にたずさわったり、コックとして働いたこともある多彩な経歴をもっており、現在も農園をもち、80頭をこえる牛を飼ったり、広いぶどう園で採れるぶどうで、飲みものを自分でつくったりしています。

「もう子どもたちは、大きくなりましたが、私の創作のきびしい批判者でした」と

シャロンは語っています。「空とぶスチーム・ローラー」「となりの家」などの多くの

絵本は世界じゅうの子どもたちに親しまれています。

※絵本より引用

 

【作・絵:ジョン・シャロン 訳:こだまともこ 出版社:ほるぷ出版