★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

つみきのいえ 

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つみきのいえ

ひとりのおじいさんが、うみのうえにある、かわった家に住んでいます。

 

このまちでは うみの水がだんだん上に上がってきてしまうのです。

 

水が上に上がってきて、住んでいた家が、水の中に沈むと、

 

その家の上に、新しい家を建てます。

 

こうしてまるで、積み木を何個も、重ねたような家ができてしまったのです。

 

おじいさんはこの家に一人で住んでいて、おばあさんは3年前に亡くなりました。

 

朝起きると、家の中にある釣り堀のふたを開け、魚を釣り、ごはんのおかずにします。

 

その他にも、屋根の上でニワトリを飼い、パンを焼くための小麦を育てます。

 

足りないものは、家の近くをとおる行商人の船から買います。

 

近所に住むおじいさんと船の上で、チェスをしたり、夜になると波の音を聞きながら

 

眠りにつきます。

 

そんなある日、また床まで海の水があがってきました。

 

おじいさんは新しい家を建てるために、屋根に上ります。

 

昔はこの町にもたくさんの人が住んでいましたが、みんな移り住んでいきました。

 

そして新しい家づくりの作業中におじいさんは、大失敗をしてしまいます。

 

大工道具を下の下の家まで、落としてしまったのです。

 

急いで、潜水服に着替え、大工道具を探しに海に潜ります。

 

3つ下に家に大工道具が落ちていました。ここはおばあさんと最後に暮らした家でした。

 

とても懐かしい思い出が鮮明に蘇ってきました。

 

おじいさんは他の下の家にも行ってみたくなりました。

 

どの家にも思い出がいっぱいつまっています。

 

長女を嫁に出した家、たくさんの子どもと子猫と暮らし家、

 

初めての子供が産まれた家、おばあさんと結婚して初めて暮らした家。

 

下へ潜っていくほど、思い出も古くなっていきます。

 

おじいさんの新しい家が春に完成しました。

 

壁のわれめにタンポポが一つ咲いていて、おじいさんはうれしくなりました。

 

 

絵本『つみきのいえ』を読んだとき、これぞ絵本と思いました。

 

絵本の世界だから成り立つ世界。夢いっぱいの世界。

 

大人になったら、湿気が気になるし、嵐が気になって、とても

 

こんな発想にたどり着けないのですが、ちょっと憧れます。

 

子どもの時にこの絵本に出会っていたら、どれほどの感動だったかなと考えました。

 

そして思い出を遡って、実際にもぐって見られるって素晴らしい。

 

私たちは思い出は記憶にしか残らないので、それを実際にカタチに残せるおうちが

 

とても素敵でした。

 

人生もこのつみきのいえと同じ、過去や思い出が積み重なって今の自分がいる。

 

おじいさんは一人で暮らしていますが、決してひとりではないのだと。

 

読んでいて、心温まるお話です。

 

絵本『つみきのいえ』は、短編アニメーションを絵本ようにリメイク・描き下ろしたもので、

 

2008年アニメ映画祭の最高峰と言われる、

 

フランス・アヌシー国際アニメーションフェスティバルでクリスタル(最高)賞、

 

こども審査員賞をW受賞し、一躍世界も注目を集めました。

 

《著者紹介》

絵:加藤久仁生

1977年生まれ、鹿児島県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、

2001年株式会社ロボット入社。同社のキャラクター・アニメーション部 アニメーションスタジオCAGE所属。Web、TVなどで様々なアニメーションを手掛ける。

2003年監督した短編『或る旅人の日記』などにより国際的に高い評価を得る。

 

文:平田研也

1972年生まれ、奈良県出身。青山学院大学文学部仏文科卒業後、1995年株式会社ロボット入社。同社のコミュニケーション・プランニング部所属。TVドラマ、劇場映画、ショートムービーなどの脚本を手掛ける。

 

※絵本より引用

【文:平田研也 絵:加藤久仁生 出版社:白泉社

 


つみきのいえ