ロシアの民話。おじいさんとおばあさんと暮らす孫のマーシャは、
ある日友達と一緒に、森へきのこやいちごを取りに出かけました。
いつの間にか一緒に来た友達とひとりはぐれてしまい、道に迷っていると、
森の奥に大きな家が見えてきて、そこには大きなクマが一人で住んでいました。
クマはマーシャに、これからごはんを作ったり、食べさせてもらったり、
自分の身の周りの世話させようとしました。
クマは毎日外にでかけるとしばらくは帰ってきません。
おじいさんとおばあさんの住む家に戻りたかったので、
クマが出かけているうちに逃げ出そうと思いましたが、
クマが外出を固く禁じていました。
マーシャは知恵をしぼります。
どうしたら私は外に出られるだろう?
そこでマーシャはおじいさんとおばあさんのために、おまんじゅうをたくさん焼き、
大皿にのせました。そしてクマに、おじいさんとおばあさんに届けに行きたいのと
伝えると、クマは私が届けに行こうと言います。
女の子は少し考えて、表に出て雨が降っていないか確認してくれる?といい
クマを一度家から出すと、すぐにつづらの中に隠れて、
おまんじゅうの乗った皿を自分の頭の上に乗せ隠れました。
マーシャがつづらの中に隠れていることを知らず、
クマはつづらを背負うと、出かけていきました。
クマには事前に絶対につづらの中を覗いてはダメよ!もし覗いたら、私は森の高い木の
上からいつでも見張っていますからねと伝えました。
クマは疲れて森の切り株に腰を掛けると、どこからか女の子の声が聴こえてきます。
見えるわ!見えるわ!あなたは今きりかぶの上に座っているのねと。
クマはしかたなく立ち上がり、また歩き始めます。
そして無事マーシャはおじいさんとおばあさんの家に戻る事ができました。
とても賢いマーシャは、どうしたら安全におうちに戻れるか、
最後まであきらめずに、勇敢に、誰一人傷つけることなく、
無事戻る事ができました。
重厚感のあるデッサンに、重々しい色調に圧倒され、
てっきり怖いお話なのかと心配しながら読んでいましたが、
ハッピーエンドのお話でした(*^-^*)
クマさんも寂しかったのでしょうか。女の子を傷つけたりするのではなく、
ずっと女の子と一緒にいたかったのかもしれません。
《著者紹介》
絵:E・ラチョフ
1906‐1997
シベリアのトムスクに生まれる。幼少時代をバラビンスカヤ草原の大自然の中で、鳥や動物と親しんで育つ。クバン美術師範学校、キエフ美術研究所で学んだのち、1930年にキエフ出版所”クリトゥーラ”に勤め、編集者シベルスキーに子どもの本の絵について教わる。1935年からモスクワ国立児童図書出版所絵画部の編集長を務め、数々のすぐれた動物絵本をうみだす。ライプツィヒ国際図書展銀メダル、ロシア連邦共和国人民芸術家賞を受賞。主な作品に『てぶくろ』(福音館書店)『麦の穂』(ネット武蔵野)などがある。
再話:M・ブラートフ
1913‐1963
モスクワ州生まれ。新聞社やラジオ局で働いたあと、1935年からロシアや他の旧ソ連諸国のフォークロアの収集や研究、再話を始めた。昔話集や絵本など多くの著作を残す。
主な作品に『なぞなぞ100このほん』(福音館書店)『笛ふきイワーヌシカ』(偕成社)などがある。
訳:内田莉莎子(うちだりさこ)
1928‐1997
東京生まれ。早稲田大学露文科卒業。1964年ポーランドに留学。ロシア、ポーランド、チェコなどのすぐれた児童文学・昔話・絵本を翻訳、紹介した。主な訳書に、童話
『きつねのものがたり』『ぞうのドミニク』『ロシアの昔話』、絵本『おおきなかぶ』
『てぶくろ』『もぐらとずぼん』『しずくのぼうけん』『くった のんだ わらった』
※絵本より引用
【絵:E・ラチョフ 再話:M・ブラートフ 訳:内田莉莎子 出版社:福音館書店】