表紙と裏表紙を広げると、大きなカバの全身が描かれています。
動物園で、朝寝坊のかばくん。11時になって、
亀を連れている少年は飼育員さんだろうか?
かばくんに”起きてくれ”と声をかけます。亀くんが、ようやく目を覚ましたかばくんに
あいさつをする。
かばくんは水の中を、大きな体で上手に泳いでいく。
水の中から顔だけ出ている時は、そんなに大きく感じないけれど、
水の中から陸へでると、その大きさに圧倒される。
この絵本の面白いところは、動物園にいるかばくんの視点に、
物語がうつっていくこと。
今日は、周りがなんだかにぎやかだなぁ~、何曜日だっけ?
日曜日か、だから賑やかなのかぁと。
動物園に見に来たお客さんを、かばくん親子が眺めています。
ズボンはいている子や、スカートはいている子がいるなぁと。
お客さんに近づいていくカバくん。お客さんをちょっと見に行ってみようと。
少年が野菜のはいったかごを持ってきました。
カバくんはキャベツ一玉をまるごと食べてしまいました。
体も大きいけど、口も大きく開き、カバくんの食事はダイナミック。
また食事が終わると、おなかいっぱいになって、ウトウトと気持ちよさそうに
お昼するカバくん。
他の動物が早起きだろうと、お客さんが来ようと、おかまいなしで、
優雅でのんびりしたカバくんの、一日を描いている絵本です。
なかなか動物園で、人気とりというタイプではないカバに焦点を当てていて、
知られざる魅力が、作品に込められています。
《著者紹介》
作:岸田衿子(きしだえりこ)
東京に生まれる。東京芸術大学美術学部卒業。詩集に『ソラチネの木』(青土社)、
『いそがなくても いいんだよ』(童話集)ほか。エッセイ集に『草色の切符を買って』(青土社)、絵本に『ジオジオのかんむり』『かばくんのふね』『きょうのおべんとうなんだろうな』『どこでおひるねしようかな』『ぐぎがさんとふへほさん』、詩の絵本に『木いちごつみ』『かぞえうたのほん』(以上福音館書店)、『へんなかくれんぼ』(のら書店)などがある。
絵:中谷千代子(なかたにちよこ)1930~1981
東京に生まれた。東京芸術大学美術学部卒業。1963年、絵本の研究のため渡欧。絵本に
『ジオジオのかんむり』『かばくんのふね』『くいしんぼうのはなこさん』『いちごばたけのちいさなおばあさん』(以上福音館書店)、『ちいさいモモちゃん』(講談社)、『スガンさんのやぎ』(偕成社)などがある。
※絵本より引用