新米大工のハンヅ。
今日からお金持ちの家をつくることに。慣れない仕事に一生懸命なハンヅ。
絵をよく見てみると、足場がおかしなことに。上に上がりたいのに、梯子を上ると、
下がってしまったり、細い柱がいつのまにやら太い柱になっていたり、
完成した家は、窓やドアが逆さまになっていたり、階段は上りなのか下りなのか、
ふじぎな家が出来上がりました。
絵本のページをめくるたび、見事なトリックアートの世界が広がり、
ページに穴が開く程、子どもと一緒にかじりつきで見入ってしまいました。
ハンヅは昔から大工になるのが夢でしたが、幼い頃から何かつくると、
いつもヘンテコなことが起こり、ヘンテコなものが出来上がりました。
建築現場の親方にはクビを言い渡されてしまいました。
すぐ大工のハンヅのことは街中に噂が広がり、街を追われてしまったハンヅ。
そんな時、お金持ちのお屋敷が火事にあい、
ハンヅは、お屋敷に残された人を助けるために、
急いで足場を組み、トリックアートでできた足場で、
見事火事から住人を助け出すことができました。
お屋敷の主人はお礼に、君の好きなように、新しい家を作ってくれないかとお願いされ、
ハンヅは一生懸命新しい家を作りました。
すると、それはそれは見事なユニークな屋敷が完成し、街の人々が、
こんな家に住んでみたいとみんな大喜び。
ハンヅは人気の大工になりましたが、やっぱりいつかは、
ちゃんとした家が作ってみたいと思うのでした。
著者の青山邦彦さんは建築学科を卒業後、建築設計事務所で働いた異色の経歴を持つ、
絵本作家さん。
緻密な建築の絵と対比するようにユニークなだまし絵の世界で構成されていて、
1ページで2倍楽しめる絵本です!
子どもが何度もこの絵の不思議さ、もっと本の中に不思議が隠れているのでは?と
絵本を逆さまにしたり、何度もひっくり返しながら夢中で読んでいました。
大人も頭を使う、楽しい絵本です(^^♪
《著者紹介》
青山邦彦(あおやまくにひこ)
1965年、東京都に生まれる。早稲田大学理工学部建築学科卒業。同大学院修士課程修了後、建築設計事務所入社。その後独立し、絵本を描き始める。第17回講談社絵本新人賞入選。2002年ボローニャ国際絵本原画展ノンフィクション部門入選。『ドワーフじいさんのいえづくり』(フレーベル館)にて、第20回ブラティスラヴァ世界絵本原画(BIB)出展。作品に、絵本『たのしいたてもの』(教育画劇)『むしのおんがくがっこう』(あかね書房)『ぐんぐんのびる!東京スカイツリー断面図と大パノラマ』(講談社)『いたずらゴブリンのしろ』(フレーベル館)など多数。
※絵本より引用
【作・絵:青山邦彦 出版社:フレーベル館】