ベンジーという男の子の心の成長物語を丁寧に描いた絵本です。
ベンジーは赤ちゃんのときから使っている毛布が未だに手放せません。
おうちの中はもちろん、幼稚園に行くときも、床屋さんにいくときも、歯医者に行くときも、
スーパーへ買い物にいくときも、近所の友達に会いにいくのも、
寝る時も、どんな時もベンジーは毛布をかたときも放しません。
毛布があると安心だから。
もう赤ちゃんの時から使っている毛布なので、ボロボロ。
理解してくれる人もいれば、理解してくれない人もいます。
ママとパパは『きっと、いつか、大きくなったら毛布を手放せるときが来るわ』
と理解してくれていますが、
お兄ちゃんと、お隣の家の住むお姉ちゃんは、ベンジーがどこに行くにも毛布を
持っていることが理解できません。
しかしベンジーはある日を境に、しだいに毛布のことを忘れてしまうことが増えました。
幼稚園で勇敢にジャングルジムのてっぺんまで登った日や、
足が大きくなって、靴屋さんで靴を新調してもらった帰りなど。
お母さんはベンジーが、幼稚園や、お店で毛布を忘れてしまうようになったなと
不思議に思いました。
そんなある日、隣の家に住むお姉ちゃんが子猫を飼い始めたのですが、
良く鳴くネコで、3日3晩鳴き続けていました。
ベンジーは子猫を、自分の大好きな、大切な毛布でくるんでやりました。
すると子猫は安心したように、あんなに鳴いていたのがうそのように、
静かになりました。
ベンジーは少し自分がお兄ちゃんに慣れたような、
とても誇らしい気持ちになりました。というお話です。
私も子どもの頃、ベンジーと同じで、お気に入りのタオルを手放せず、
どこにいくにも一緒でした。洗濯されて、乾くまでの時間も待てないほど、
タオルが手放せなかったので、ベンジーの気持ちがとてもよくわかります。
子どもの心の成長を、最後まで、繊細に描かれている絵本だなと思います。
兄弟ができたときに、おもちゃを譲ったり、今まで自分が使っていた椅子を
譲ったりするタイミングが来たときに、読み聞かせしてあげたい絵本です(*^-^*)
《著者紹介》
文:マイラ・ベリー・ブラウン
1918年、アメリカ、ミネソタ州ミネアポリスに生まれる。カリフォルニア大学卒業後、
映画配給会社の秘書、著作権代理店、ガールスカウトの指導員など、さまざまな職業に就いた。1942年に結婚。ローナ、エリザベス、ジョナサンの二女一男の母となる。
1959年、『Company‘s Coming For Dinner』で作家としてデビュー。自身の子育て経験を題材にした作品が多く、主に息子ジョナサンのために書いた。
絵:ドロシー・マリノ
1912年、アメリカ、オレゴン州オークランドに生まれる。父親は教師であったが、
その後本屋を営み、ミズーリ州、カンザス州などに移り住んだ。カンザス大学卒業後、
ニューヨークに出てアート・スチューデンツ・リーグで絵画を学ぶ。1954年、デビュー作でヘレン・ディーン・フィッシュ賞を受賞。その後、マリノ氏と結婚し、長女ニナが生まれる。代表作に、『くんちゃん』シリーズ(全7巻ペンギン社他刊)『ふわふわくんとアルフレッド』(岩波書店)『マイケルとスーザンは一年生』(アリス館)がある。
※絵本より引用
【作:マイラ・ベリー・ブラウン 絵:ドロシー・マリノ 訳:まさきるりこ
出版社:あるなろ書房】