昔から何度も読んだこともあるアンデルセンの名作『はだかの王さま』。
『ちいさなおうち』の作者であるバージニア・リー・バートンが絵を描きました。
王様は細身で、気品に溢れていて、お城だけでなく、街並みすべてが美しく、
市民もみんな綺麗な格好をしていて、とても幸せそうに暮らしています。
今まで読んできた王様よりも謙虚で、お城で働く大臣たちとの関係も良さそうです。
誰も傷つけない、品のある『はだかの王さま』という感じがとても気に入りました。
もちろん見えない布を見えると言ってしまう大人の滑稽さは変わりませんが、
子どもの見たままを正直に口にする場面でも、子どもを咎めるわけでもなく、
自分の過ちを認めたうえで、大臣たちも一緒にはだかの王さまを支え、
棘のとれた、微笑ましい、はだかの王さまになっています(*^-^*)
子どもの読み聞かせにこの絵本を選び良かったなと思いました。
読んだ後、みんなが嘘をついているのに、ちっともイヤな気持ちになりませんでした。
それどころか、とても幸せな気持ちになりました。
絵とともに訳も素晴らしい一冊だと思います!
《著者紹介》
作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン 1805-75
デンマークで貧しい靴職人の子として生まれ、30歳のとき、『即興詩人』で文名を確立した。「おやゆび姫」「人魚姫」「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」など、
アンデルセンの書いた童話は、人と自然への深い洞察と愛情に満ちており、世界中で愛され続けている。
絵:バージニア・リー・バートン 1909‐68
20世紀アメリカの代表的な絵本作家。マサチューセッツ州生まれ。ギリシア人の彫刻家ジョージ・デメトリアスと結婚し、2人の息子を育てながら、『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『はたらきもののじょせつしゃけいてぃー』(以上、福音館書店)、『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』(童話館出版)、コルデット賞受賞作『ちいさいおうち』(岩波書店)、『ちいさいケーブルカーのメーベル』(ペンギン社)などの傑作絵本を生み出した。
訳:乾 侑美子(いぬいゆみこ)1941‐
東京生まれ。家庭文庫活動を経て、主に英・独の児童書の研究、翻訳で活躍。訳書に
『おやゆびひめ』『マッチうりの女の子』(以上、童話館出版)、『アンデルセン自伝』(あすなろ書房)、『昔話の魔力』『闇の女王にささげる歌』(以上、評論社)、
※絵本より引用
【作:アンデルセン 絵:バージニア・リー・バートン 訳:乾侑美子
出版:岩波書店】