好きなものってどうしたらいいの?
大切にするってどういうことだろう?
犬のブルーノは、たろうくんのはいている、白くて黄色い線のはいった靴下お気に入り。
たろうくんが靴下をはいていると、足元をハムハムハム。
洗濯物からガサガサゴソゴソ探して、ハムハムハム。
あまりにハムハムしすぎて、もう靴下はボロボロに。
たろうくんはブルーノに靴下をあげました。大切にするんだよ!と言いました。
ブルーノは大好きなものをどうしたらいいのか考えました。
そして台所でカレーを作っているお母さんに、『好きなものってどうしたらいいの?』
と聞きました。すると、好きなものをカレーに入れるといいよと言いながら、
りんごをお鍋に入れました。ブルーノも靴下をお鍋に入れました。
お母さんが叫びながらブルーノを叱りました。
次に居間でケーキを食べているおばあちゃんに、
『好きなものはどうしたらいい?』と聞くと、
良く味わって食べるといいよ!と言われました。
さっそくブルーノはカレー味の靴下を食べてみましたが、全然美味しくありません。
これもなんだか違うみたいだ。
お庭にいくと、お父さんが土を掘って綺麗なお花を植えていました。
お父さんにも同じ質問をしてみると、
好きなものは土に埋めるんだよ。と言われました。
ブルーノはカレー味の靴下を大事に土の中に埋めました。
あれ?あれれ?僕の大切な靴下どこに埋めたっけ??
ブルーノは手当たりしだい、庭を掘り返し、お父さんがキレイに植えたお花も台無しです。
靴下はカレーと土でぐちゃぐちゃに。
たろうくんは、こんなに汚してとあきれながら、洗濯機の中に放り込みました。
見事に靴下は綺麗に蘇りました。
ブルーノはこれがいいみたい!と思い、
次の日みんなの好きなものを全部洗濯機に入れました。
そう、カレーに、ケーキに、お花に、靴下。
また誰かの悲鳴が聞こえてきそうです。
ブルーノなりに大好きなもの、大切なものを、大事にするってどういうことだろう?
と考え、みんなに相談しながら、自分の中で答えをだしていきます。
子どもは笑いながらブルーノが真剣に大切にしているつもりなのに、
周りからはいたずらをしているように思われているのがおかしいと笑っていました。
小さな子供が壁に落書きしたり、砂をポケットにいっぱいつめてくるのも、
イタズラばかりじゃなくて、ひょっとしたら大事なものなのかもしれません。
【作:まるやまなお 出版社:みらいパブリッシング】