ある日、プードルのパンタロンは、ベーカーさんのケーキ屋さんに買い物に出かけました。
ベーカーさんのケーキが美味しくて大好きなパンタロン。
ベーカーさんのケーキ屋さんはいつも人気で、今日も大忙しです。
昼までにたくさんのケーキを作るのに、誰かの助けが必要になりました。
ベーカーさんはお手伝いを募集することにして、お店の前に看板を出しました。
それを見つけたパンタロンは嬉しくなって、ベーカーさんにお手伝いを申し出ます。
ベーカーさんはパンタロンはケーキを作る前に食べてしまいそうだと断ります。
パンタロンはどうしても諦めきれず、女の人に変装して、またベーカーさんの元へ。
あまりに嬉しくて踊っていると、変装していた衣装が次々にはがれ、
パンタロンと気づかれてしまいました。
ベーカーさんは砂糖を切らしていることに気が付き、慌てて買い物にいくと、
その途中でパンタロンの自転車に足をひっかけ怪我をしてしまいます。
パンタロンは動けなくなったベーカーさんを助け、ベーカーさんの代わりにケーキを
一生懸命飾り付け、そしてトラックに積み込むとお客さんの家に配達に出かけました。
お客さんもパンタロンからケーキを受け取ると大喜びしてくれました。
配達が終わり、パンタロンは嬉しい気持ちでいっぱいでしたが、
そもそもベーカーさんが怪我をしてしまったのは、自分のせいだとと思い出し、
そのまま家に帰ってしまいました。
何日かすると、ベーカーさんの怪我もすっかりよくなり、またベーカーさんは
元気に美味しいケーキを焼き続けます。
でもお客さんが来るたびに、『今日はパンタロンは?』と何人もの人に聞かれ、
いないことを伝えるとがっかりして帰っていきます。
ベーカーさんは自分が怪我で寝込んでいる時に、パンタロンが一生懸命働いて
くれていたことをお客さんか聞き、初めて知りました。
パンタロンはベーカーさんのケーキが気になりましたが、
さびしそうに家で過ごしていました。
ベーカーさんも街中を探しましたが、パンタロンには会えず、
そこで大きな大きな素敵なケーキを焼くと、
パンタロンもどってきておくれとメッセージを書いたケーキをウィンドウに飾りました。
パンタロンはとうとうベーカーさんのケーキが恋しくなって、
久しぶりに外へ出て、ベーカーさんのお店に向かいました。
そして特別なケーキを見つけて思わずお店に飛び込みました。
世界中で一番仲良しのケーキ屋さんになりましたというお話。
パンタロンがどうしてもベーカーさんのケーキ屋さんで働きたくて、
変装したりする姿が可愛らしく、夢をあきらめきれなくて、
一生懸命なパンタロンの姿に、心打たれます。
好きなことを仕事にし、好きなことに打ち込める毎日、
これ以上の幸せはないなと改めて思いました。
好きなことをして、みんなが笑顔になってくれる、みんなを幸せにできる、
そんな人生の時間を過ごしていきたいものです(*´▽`*)
【作:キャサリン・ジャクソン 絵:レナード・ワイスガード 訳:こみやゆう
出版社:好学社】