『ゴールディーのお人形』はゴフスタインという女性が描いた作品なのですが、
ゴフスタインの作品はどれも哲学的で、忘れてかけていた大切なことを
思い出させてくれます。小学生から、特に大人にも読んで欲しい絵本です。
『ゴールディーのお人形』は、人形職人の両親が残した、人形を作る仕事を引き継ぎ、
自分の信じる美しさ、仕事へのひた向きさ、仕事への情熱を、
ひとりで守り抜いている芯のある強い少女が主人公です。
例えば、両親はお人形を四角く切られた木から作成していましたが、ゴールディーは
森に落ちている枝を拾い使います。
それは四角く切られた木では、『生きている』感じがしないからという理由で。
仕事仲間には、そもそも人形は生きていないじゃないかぁ~と笑われてしまいます。
そんなある日お気に入りのお店で、
ゴールディーは見たこともない美しいランプに出会います。
ものすごく高価なものでしたが、ゴールディーは運命を感じ購入します。
お友達には、物の価値がわからない芸術家だと笑われてしまい、
ゴールディーは自分の感性や、信じてきた価値観に不安を覚えます。
しかし、ランプを作った作家さんの、
『どこかの誰かがきっと喜んでくれると信じてランプを作りました』という言葉を聞いて、
ゴールディーは私がお人形をつくる気持ちと全く同じだと、気がつきます。
日々、~しなくてはならない。これはこうするべき。を優先してしまって、
本当に大事なことをないがしろにしてしまいがちだなぁと感じます。
他人や世間のものさしで、価値を測りがちですが、
本当はみんな、それぞれに、違っているので、
自分の幸せも、信じるものも、価値あるものも、常識も、みんな違って当然。
自分のものさしで測っていけば、自分を幸せにできるのかなぁと
この作品は語り掛けてくれます。
何か迷った時に、立ち止まったときに、読み返した一冊です(*^-^*)
子どもには自分の信じた道を諦めないで、信じ続ける力をこの絵本を通して伝えたいです。
《著者紹介》
M.B.ゴフスタイン
1940年、アメリカ合衆国ミネソタ州セントポール生まれ。ニューヨーク在住。
私がこの本の中で表現したいと思っていることは、自分が信じるすばらしい
何かを作り出すために黙々と働く人の美しさと尊さです。
そして、本はだれか人が書いたということを知って以来、私は本を書く人になりたいと
思っていました。
(ゴールディーのお人形より引用)
【作・絵:M.B.ゴフスタイン 訳:末盛千枝子 出版社:すえもりブックス】
《著者の紹介》