★KIKOがお勧めしたい絵本の世界★

年間200冊読んで、人にお勧めしたいと思った絵本を紹介します♪

ひびけ わたしの うたごえ

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ひびけわたしのうたごえ

冬の朝、カナダに住む6歳の少女はスクールバスに乗るため、長い道のりを

 

雪をかき分けながら、まだ陽が出ない真っ暗な道を、白い息を吐きながら、

 

一人で進む。

 

何度となく、その暗闇に、孤独になりながら、その不安を吹き飛ばしながら道を進んでいく。

 

春は、卒業、入学、入社、退職、新しい生活へ向かう人が多い季節。

 

期待と同じぐらい、時にはそれよりも大きな不安を胸に抱えながら、

 

私たちは新しい日を迎えようとしている。

 

人生の節目で、応援してくれるような一冊です。

 

冬の朝はまだ暗い。あたたかな家を一歩でると、冷たい風が吹きつける。

 

スクールバスまでの長い道のりを女の子は、息を切らせながら、

 

心細さを押し隠して、前へ一歩一歩、歩いていく。

 

お弁当の入ったかばんをぎゅっと握りしめて、

 

坂をくぐると、もう家は見えない。

 

真っ暗闇の森を進むと、いろんな声が聞こえてくる。

 

誰かに見られているようで、足がすくむ。

 

勇気を出して、立ち止まらず、見上げないで、ただひたすら前へ進む。

 

キーキー、ウーウー、ホーホー不思議な音があちらこちらから聞こえてくる。

 

ひとつ深呼吸をして、そうだ、歌を歌おうと、

 

女の子は不安を打ち消すかのように、大きな声で歌い出す、

 

白い息を吐きながら、すると辺りが明るくなった。

 

北風が吹き荒れ、どこまでも続く雪。

 

歌って、歌って、歌い続ける。

 

ずんずんと雪の中を進んでいくと、ようやくスクールバスが見えてきました。

 

もう大丈夫。そこにはいつものみんなの笑顔が待っていました。

 

さぁ新しい今日のはじまりです。

 

 

カナダが舞台なので、日本とはくらべものにならないぐらい、大地は広く、

 

どこまでも終わりのない雪景色は、この道で方向はあっているのか不安になる。

 

真っ暗な中で聞こえる動物の声も、昼間とは違い、不気味な声にかわり、

 

冷たい北風が余計に弱気にさせる。

 

自分の歌声で静寂をやぶり、気持ちが少しずつ解けていく。

 

人生で何度もこういった状況が繰り返される中、

 

誰かがいつもそばにいて助けてくれたらいいけれど、

 

そう、うまくもいかないもの。

 

たった一人の時も、自分を自分で励まし、強い気持ちと、

 

どんな困難にも負けず、ただひたすら前に進む、前に進んでいたら、いつの間にか、

 

困難な状況は通り過ぎていたという経験の繰り返しに思う。

 

そんな気持ちを忘れないでねというメッセージが込められている一冊。

 

《著者紹介》

文:カロライン・ウッドワード

作家・灯台守。

カナダ、ブリディッシュ・コロンビア州、ピース・リバー流域のセシル湖畔で少女時代を過ごす。その地域の子供たちは、勇敢でたくましく、彼女自身も家からスクールバスの停留所までの長くて困難な坂道をあるいて通った。現在バンクーバー島西部トフィーノ近郊、クレイオクォット湾の入口に位置するレナード島灯台に住む。

 

絵:ジュリー・モースタッド

カナダで注目されているイラストレーター。

ギャラリーで作品展を開き、アニメーション・ミュージックビデオの制作も手掛ける。

主な作品に『サディがいるよ』(福音館書店)、『スワン アンナ・パブロワのゆめ』『きょうがはじまる』(以上、BL出版)『はるなつあきふゆの詩』(偕成社)『ショッキングピンク・ショック!』(フレーベル館)などがある。スケッチを描いたり、スープ入れを制作したり、パンを焼いたりするのが好き。家族と共にカナダ・バンクーバー在住。

※絵本より引用

【作:カロライン・ウッドワード 絵:ジュリー・モースタッド 訳:むらおかみえ

 出版社:福音館書店

 

 


ひびけ わたしの うたごえ (世界傑作絵本シリーズ)