お腹がすいている時、空に浮かぶ雲を見て、『あれ、ソフトクリームだ!』とか、
『あの雲は目玉焼き!』『あの雲はわたあめだ!』と言い合いながら、
パクって雲を掴んで口に運んで、空気をたくさん食べた記憶が浮かびました。
キャベツくんに登場する、ブタヤマさんも、お腹がすいていたから、
空にいろいろ想像したものが、景色として浮かびあがったのかもしれません。
キャベツくんが歩いていると、ブタヤマさんに会いました。
ブタヤマさんはお腹がペコペコで元気がありません。
キャベツくんを見つけるなり、キャベツくんを捕まえ、食べようとします。
キャベツくんは、ぼくを食べるとキャベツになるよと言いました。
キャベツになるとはどういうことでしょう?
ブタヤマさんはブキャ!と声を上げ、空を見た途端驚きました。
なぜなら、空にキャベツになったブタヤマさんが浮かんでいたからです。
ぼくを食べるとこうなるんだとキャベツくんがいいました。
ブタヤマさんは、じゃあヘビか君を食べたらどうなるの?
こうなるよとキャベツくん。
またまたびっくり、空の上でヘビのお腹に3玉のキャベツが連なったヘビが。
キャベツのお団子みたいなヘビです。
ブタヤマさんはその後も、タヌキ、ゴリラ、カエル、ライオン、
小さなノミから、大きなクジラまで。
たくさんの動物たちがキャベツを食べたらどうなるのか聞いて、
空に浮かぶ、見たこともない動物たちに『ブキャ!』とびっくりして、
その度にかぶっていた帽子を飛ばしてしまいます。
ブタヤマさんは、たくさんのキャベツを想像して、
これだけ食べたらお腹いっぱいなるだろうなと思いました。
子どもへ読み聞かせると、『ブキャ!』という繰り返し、
登場するブタヤマさんの叫び声に、大笑いしていました。
そして、キャベツを食べたら、動物たちがどんな風になるのか、
次のページをめくるのが楽しみでワクワクしてきます。
ノミはどうなるんだろう?と思いながらめくると、
まさかの何も空になくて、想像をいい意味で裏切られ、
そのあと登場する大きなキャベツのクジラには、
ブタヤマさんが、いよいよお腹が減ってきたんだなと思わせるビッグサイズの
ほぼ100%キャベツであろう、クジラさんが空に浮かびます。
果てしない自由な発想力で展開される一冊です。
《著者紹介》
作:長 新太
東京生まれ。1959年、絵本『おしゃべりなたまごやき』(福音館)で文芸春秋漫画賞受賞。1974年、絵本『おしゃべりなたまごやき』(福音館改訂版)で、国際アンデルセン賞国内賞受賞。1977年、絵本『はるですよふくろうおばさん』(講談社)で講談社出版文化賞受賞。作品に、『なんじゃもんじゃ博士』『ごろごろにゃーん』(以上福音館)、『のくのくれよん』(銀河社)、『もじゃもじゃしたものなーに?』(文研出版)などがある。また、エッセイ集、マンガなどがある。
※絵本より引用
【文・絵:長新太 出版社:文研出版 】