NHKのみんなのうたで、作者である、あべ弘士さんのお名前を拝見したことがあり、
すぐに『あっ!みんなのうたの人だぁ~!』と私の中で合点がいきましたが、
絵本作家さんがもちろん本業なわけですが・・・
絵のことを何も知らない私が、自分の視点でみると、
絵がなんというか、写真のような上手さではなく、
変な言い方になってしまいますが、
『絵がうますぎないところ(あそびがあるような)』が魅力的だと思っています。
子どもが描いたような、子ども心を感じる絵に、親しみと温かみを感じます。
でも決して下手と言っているのではありません(ToT)/~~~語彙力がなくて、
情けないですが、写真のような絵ではなく、味わい深い絵なのです☆彡
ライオンのとうさんが、こどもたちと一緒に散歩にでかけます。
ライオンのかあさんは、近頃いそがしそうだ。
ヌーの群れが戻ってくるから、狩りに備えているようだ。
子どもたちはヌーってなに?ってお父さんに聞く。
ヌーは野生のウシのことで、ライオンの一番のごちそう。
いい季節がやってきた。
ライオンの子どもたちは、それぞれに行きたい場所をねだったり、
探検がしたい子、岩山に登りたい子、モンキーに会いたい子、みんなやりたいことが
バラバラです。ライオンのとうさんは、みんなをまとめるのに大変です。
湖にたどり着くと、
フラミンゴが一斉に飛び立ち、空は夕焼けの空のように、ピンクに染まります。
そろそろ帰ろうと子どもたちに声をかけると、
みんな、まだ遊びたい、岩山に行きたいと、声を上げます。
ライオンのとうさんは忙しいのです。
いろいろとおとなはいそがしいのです。
かえりみち、林から あの大地を震わせる足音、声が聴こえてきます。
目の前をヌーの大群が通り過ぎます。
子どもたちも、ライオンのお父さんも興奮しています。
ヌーは そのあと、 あたりが暗くなるまで
ライオンのさんぽを とうせんぼしました。
ライオンは おもう。
とても、食べきれないと笑
ライオンは百獣の王と呼ばれていて、怖いものなしに見えるし、
いつも余裕があって、優雅に見える。
食べたいものを食べたいときに食べているイメージ。
このライオンのとうさんの心の声が絵本で何度か出てきて、
語りの中心になっているけれど、
このライオンのとうさんの心の声の文章がなければ、
ライオンが優雅に大地を横断していて、
ヌーにすぐガツガツと飛び掛かるわけでもなく、
もうお腹も満ち足りて余裕の姿なのねという風に見えなくもない。
そこで最後の”(うーむ、くいきれん)”っていう心の声に思わず笑ってしまう。
ジャングルの百獣の王なのに、何とも可愛らしい。愛らしいとうさんが、
そこにいる。
《著者紹介》
作:あべ弘士
北海道旭川市に生まれる。25年間旭川市旭山動物園に飼育係として勤務。
現在は絵本を中心に創作活動をしている。講談社出版文化賞、小学館児童出版文化賞、
産経児童出版文化賞などの受賞作を発表している。
※絵本より引用
【作:あべ弘士 出版社:佼成出版社】